ダイアリーは自分の歴史が記された年刊雑誌みたいだ
先日のイベントで、オズマガジン編集長の古川さんが本棚に残るような雑誌を作りたいとおっしゃっていたんだけど、それを聞いて僕らも使い終わったら捨てずに残しておきたくなるようなノートでありたいと思って作っていることにあらためて気付かされた。
本当は捨てずにとっておきたい雑誌や本はたくさんあるんだけど、本棚のスペースは限られているし、引越しや年末の大掃除のたびに泣く泣く捨てる羽目になる。そんな中でも何度も激戦を勝ち抜き本棚に残った大切な雑誌の大切な号はあって、そういった雑誌は今も手に取ることが多い。
ノートもまた消耗品と捉えている人も多いし、使い終わって捨られてしまうものもたくさんある。実際に僕だって、トラベラーズノートを使う前はノートをきちんと保存していなかった。そんな中でも学生時代にインドやタイを旅した時のノートはずっと残っていて、トラベラーズノートを作る時に久しぶりにその時のノートを眺めてみた。ノートには、どこに行ったとか、何を食べたとか、使ったお金の金額などが詳細に書かれているけど、照れもあったのか、あまり心境は綴られていない。だけど、その汚い筆跡やコーヒーのシミがついたよれよれのページをめくっていくと、その旅のことが頭にはっきりと思い出されて、なんだかとてもわくわくしたのを覚えている。
こんなノートが増えて、自分の旅や生活の記録が積み重なっていったら素敵だなと思って、トラベラーズノートは保存してほしいノートでありたいと考えた。同じサイズのリフィルノートが増えていくのは本棚に雑誌が並ぶのに似ているような気がして、リフィルをストックするためのバインダーは雑誌のバックナンバーを綴じるバインダーを参考に作った。
自分好みのステッカーなどを貼ってカスタマイズされた表紙は、雑誌の表紙にように中に書かれたその時の自分の生活とリンクしているはずだし、旅のノートは、自分だけのその旅先の特集号だ。さらに毎年1冊ずつ増えていくダイアリーなんて、自分の歴史が記された年刊雑誌みたいだ。
そう考えると、先日2018年版が発売されたばかりダイアリーは、最新号で12号目となる。2018年の特集はトラベラーズステーションから出発する架空の寝台列車トラベラーズトレイン、ということで、トラベラーズトレインをモチーフにデザインしたカスタマイズステッカーや下敷きを作った。それらとあわせて、それぞれの好きなことや大切なものを描いたり貼ったりカスタマイズして、2018年を共に旅してほしいと思う。
雑誌といえば、トラベラーズカンパニーが年に1回だけ発行するフリーペーパー、TRAVELER'S TIMES 12号がダイアリーの発売とあわせて発行されている。今号の特集は「Craftsmanship」。原点に立ち返りトラベラーズカンパニーものづくりで大切にしていることについて綴っている。僕らが作りたいのは、やっぱりいつも一緒にいてワクワクさせてくれたり、勇気を与えてくれたりする人生の旅の相棒となるような道具。皆さんにも愛着を持って使い続けてもらえるようにこれからも精進していきます。
そして、「How Do You Use TRAVELER'S notebook」は、画家として、インドや中国、メキシコなど世界各地で、壁画を描いている旅するアーティスト、大小島さん。彼女の絵と同じように、トラベラーズノートの使い方もびっくりするくらい自由。ダイアリーの枠を飛び出して落書きのように絵があちこちに描かれたノートを見せてもらった時は、なんだかトラベラーズノートが理想的な使い手に出会えて喜んでいるように見えた。もっと自由でいいんだって思わせてくれる素敵なトラベラーズノートです。
TRAVELER'S TIMESもついに12号です。ぜひ手にとってごらんください。また、12号すべて重ねてもそれほど場所をとるわけではないので、ぜひ保存していただけると嬉しいです。