2018年1月15日

メゾン・エ・オブジェ パリに出展する理由

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トラベラーズノートが生まれる前の17年前のこと。
 
僕は海外担当の営業としてドイツのフランクフルトで開催している文房具の国際展示会ペーパーワールドに参加したことがある。当時はまだ社名はデザインフィルではなくミドリで、ペーパーワールドには毎年出展していた。もちろん当時の僕は、ヨーロッパの展示会は初めての経験で、その巨大な会場に世界中から出展社やバイヤーが集まる雰囲気に大きな衝撃を受けた。
 
ヨーロッパの高級筆記具メーカーのブースでは、まるでホテルのように作り込まれた商談室の中で、シャンパン片手に商談がされていたり、イタリアのブースでは、ガラスペンや革のノートに船や馬車などの模型が棚に雑然と並び、その奥のカウンターにはカットする前の大きなパルメザンチーズがドンと置かれ、それをつまみにグラッパやエスプレッソが振舞われていたりして、それまで日本で経験してきた展示会とはまったく違う迫力に圧倒されたのを覚えている。
 
ちなみに当時のミドリのブースでは、コンパクトなホチキスやカッター、ハサミなどのプラスチック成形品がメインで、デザインや品質の評価も高く、パリやロンドン、ニューヨークなど、欧米のデパートやライフスタイルショップにも置かれていた。それらの商品は、世界のお店で露出を増やし売り上げを伸ばしていくにつれて、より安価の似たような商品が、次々と現れて販売が難しくなっていった。当時はミドリというブランドの認知度も低く、あっさり似たような商品に切り替えられてしまうのを、営業として悔しい気持ちで見ていた。そして数年後には、ペーパーワールドへの出展もやめてしまった。
 
そんな中、初めてパリで開催される展示会、メゾン・エ・オブジェにトラベラーズカンパニーとして出展する。メゾン・エ・オブジェは、インテリアやデザイン雑貨などの業界では世界最大の展示会だ。もともとトラベラーズとしては、こういったビジネス向けの展示会に出ることにあまり積極的ではなかったし、日本でも海外でも、どちらかと言えば今まで開催してきたようにユーザーの方と直接関わるイベントを大切にしてきた。
 
今回、メゾン・エ・オブジェに出展する理由は、トラベラーズノートを一度しかるべき場所できちんと紹介したいという気持があったからだ。トラベラーズノートが生まれてからの12年間の歴史、今まで作ってきたモノ、やってきたこと、仲間たち、それらを僕たちが作り育ててきたオリジナルの本物として、オフィシャルな場所できちんと表現し、見てもらいたいと思った。それがフェイクが出回ってきていることへの牽制にもなるし、さらなる新しい出会いのきっかけにもなると考えた。
 
フランスのパリという遠隔地の展示会場で、どこまでトラベラーズの世界が作り込めるか、正直に言えば不安はたっぷりある。もちろんこれまで手間と時間をかけて準備をしてきたし、会場では現行のプロダクトだけでなく、今まで作ってきたコラボレーションプロダクトやトラベラーズファクトリーのプロダクトも並べる予定だ。さらに展示会なのにカスマイズコーナーも作るし、アアルトコーヒーのトラベラーズブレンドを飲むこともできる。
 
つまりいつものトラベラーズファクトリーのような空間をそこに作ろうと考えている。思い描いている空間ができるかどうかは、現地でいかに作り込みができるかにかかっているけど、トラベラーズが作り出す世界が展示会に足を運ぶ世界中のバイヤーやメディア、メーカーの人たちにどんな風に感じてもらえるか楽しみだな。

メゾン・エ・オブジェは初参加だし、ブースもそれほど大きくはないけれど、ヘッドライナーを食っちゃう意気込みでフェスに初参加するバンドのような気分でがんばりたい。トラベラーズここにありと示していきたい。
 
そんなわけで期待と不安とともにトラベラーズノートを手にして、明日よりパリへ旅立ちます。旅や展示会の模様なInstagramやfacebook、twiiterでも随時流していく予定なのでぜひご覧ください。

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