2019年11月18日

京都からはじまる新しい旅

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先週、2020年春に京都にオープンする予定のトラベラーズファクトリーについての情報をアップしました。
 
8年前、トラベラーズファクトリーを中目黒に作った時には、他にも店をオープンすることなんてことは考えられなかった。
 
経験もノウハウもない、店舗運営においてはまったくの素人だった僕らは、トラベラーズらしくということだけを頼りに、手探りでトラベラーズファクトリーを作り、試行錯誤を繰り返しながら運営していった。それは想像以上に大変で手間がかかることで、しかもそれまでやってきたものづくりなどの仕事も同時にこなしていかなければならない。正直に言えば、あの頃はさらに他の店を作ることを考える余裕なんてなかった。ただ、自分たちの基地ができたことは、そんな苦労を補って余りある大きな喜びを僕らに与えてくれた。
 
それから2年、成田空港から店を出さないかと声をかけられた時は、当然その時の苦労が頭をよぎった。だけど、空港は旅人にとって特別な場所。不安より、空港にトラベラーズファクトリーがあったら面白いことが起きそうだというワクワクするイメージがどんどん膨らみ、エアポートの出店を決めた。ステーションもそうだ。東京駅への出店のお誘いをいただいた時、飛行機に対し電車の旅の起点であり、さらに旅人が訪れる場所であり、日常の通過点でもある東京駅に魅力を感じ、心が動かされたから、出店を決断した。
 
それらが出来たことで、トラベラーズノートの魅力は大きく広がっていると思うし、僕ら自身もたくさんの喜びや感動を体感できている。ただ店の運営はやっぱり大変で、店舗が増えるごとに、僕らのやることリストは列を連ね、苦労も増えていった。正直に言えばステーションがオープンした後は、もうしばらく店を作るのはやめておこうとさえ思っていた。その後、実際に出店のお誘いをいただくことも何度かあったけれど、そもそも中長期の出店計画なんてものがあるわけじゃないし、いつも日々の仕事に追われバタバタだった僕らは、現実的な体制が整っていないことを理由に丁重にお断りしていた。
  
そんな中、コラボレーションやイベントを通して付き合いのあるアメリカのACE HOTELが京都にホテルをオープンするという情報とともに隣接する施設にトラベラーズファクトリーを出店しないかと連絡してきた。
 
ACE HOTELは僕らにとって特別な存在だ。最初に泊まった時、クールで自由で親密な温かさを感じる空間やスタッフにすっかり魅了され、それからずっと僕らの憧れのホテルとなった。だからロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスにある彼らのホテルのロビーで、トラベラーズのイベントを開催させてもらった時は、例えるなら日本のインディーズバンドが、憧れのバンドがいくつも出演しているアメリカの伝説のライブハウスで演奏させてもらったような、そんな高揚感を僕らは味わうことができた。
 
そして京都も僕らにとって特別な場所だ。まだトラベラーズファクトリーができる前、青山スパイラルでイベントを開催した後、次に開催する場所として選んだのが京都だった。それからも恵文社一乗寺店では何度かイベントを開催しているし、京都はトラベラーズとしては最も足を運んだ東京以外の街でもある。恵文社一乗寺店の他にも誠光社、アンジェ、かもがわカフェ、エレファントファクトリーコーヒーなど、訪れたら必ず足を運ぶ好きな店も多い。京都は日本を代表する魅力的な旅先であるのと同時に、トラベラーズにとって相性も良く不思議な縁を感じる場所でもあった。
 
そんなこともあって、ACE HOTELから直接トラベラーズチームのメンバーに声がかかり、京都にできる彼らのホテルに隣接する場所に、トラベラーズファクトリーを出さないかと誘われたら、心が動くのは必然だった。
 
ACE HOTELができる施設でもある新風館は、1926年に建てられた旧京都中央電話局の建物を一部にそのまま残して作られるのだけど、トラベラーズファクトリーは、その煉瓦造りの古い建物の中にオープンする。永い時を経てきたことが分かるコンクリートの柱や壁などの歴史を感じる空間も僕らにとって大きな魅力となった。

もちろん新しい店がまた増えることに加え、今までと違って遠距離であることにも当然不安があるし、来年春のオープンに向けて、バタバタしてまだ手がつけられていないことも超えなければならないハードルもたくさんある。
 
だけど、よくよく考えてみれば、いつだってそうだった。新しいことはいつも、トラベラーズノートが導いてくれた出会いと僕らの直感によって、必然性を伴った形ではじまるのだ。本能が導くままに広大な海を迷うことなく進んでいく鮭の旅のように、見えない引力に導かれて僕らは旅を進めてきた。そして、鮭が川の流れに逆らって全力で遡上するように、数々の苦労を一緒に乗り越えていくことでチームの絆は深まり、強くなっていった。そうやって辿り着いた新しい景色をみんなで眺めながら感動を共有することで、僕らの世界は大きく広がってきたのだ。
 
大切なのはワクワクすること。今だって、僕ら自身がなにより京都からはじまるトラベラーズファクトリーの新しい旅にワクワク
しているし、さらに来年の春、そのワクワクをたくさんの人たちと分かち合えそうな予感に心が震えている。もちろんそのためにいろいろ大変なことはあるけれど、そんな幸せなことを仕事にしていることに感謝しないといけないかもしれないな。
 
オープンまではもう少しありますが、こちらでも途中経過を紹介していきたいと思うのでぜひ楽しみにしてください。

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