9周年記念 山田稔明ライブ "TRAVEL IN MIND 2020"
先月から少しずつ読んでいた「モリッシー自伝」を先週やっと読み終わった。マンチェスターの貧困、学校や教師に対する憎悪からはじまり、文学や音楽との出会い、仕事を転々とする日々、スミス結成から解散、ソロでの活動までが、章立ても目次もなく綴られている。
音楽が生まれる喜びも書かれているけれど、ラジオでは曲をぜんぜん流してもらえないとか、音楽雑誌で嘘を書かれたり、批判されたとか、メディアやレコード会社などへの不満や怒り、さらに世の中に対する苦悩や絶望により多くのページをさいている。だからと言って読みづらいかというと、そんなこともなく、彼が好きな音楽や文学への愛がたっぷり感じられるし、彼独特のユーモアや皮肉もたくさんだし、さらにスミス以降は、その当時の自分の状況も思い出したりして楽しく読むことができた。決してみんなにおすすめの本とは言えないけど、スミスやモリッシーの音楽に心を奪われたことがある人であれば読んでみる価値がある本だと思う。
話は変わりますが、先週末、トラベラーズファクトリー9周年記念イベントとして、山田稔明さんのソロライブをオンライン配信で開催した。山田さんはオープン以来、毎年欠かさずトラベラーズファクトリーの周年イベントでライブを開催してくれている。今年はこんな状況なので、どうしようかと考えていた中で、山田さんがライブ配信でのイベントを提案してくれたのだ。山田さんはすでに配信イベントを何度か経験しているけれど、僕らにとっては初めてのこと。どんな感じになるのか、予想がつかない状態で、イベント当日を迎えた。
山田さんが会場入りすると、様々な機材を並べてセッティングをはじめた。いつもライブで使うミキサー、マイクスタンド、モニタースピーカーなどに加え、マックが2台に大型の3脚に取り付けたカメラも2台、さらに、配信映像を確認するためのディスプレイに、配信のための機械がいろいろ並べ、ラインで繋げていく。トラベラーズファクトリーの2階はちょっとした配信基地のような雰囲気になった。
配信ライブでは、この場に来ることができないお客様にトラベラーズファクトリーの空間も楽しんでいただきたいと、店内の模様などを映した動画をライブの途中で流したり、3台のカメラを切り替えたり、山田さんとしても初めての試みにチャレンジ。僕らもカメラマンや映像切り替え、配信状況のチェックなど、それぞれ役割を与えられ、全員参加での配信ライブとなった。映像切り替え担当となった僕は、動画とカメラへのスムーズな切り替えを何度も練習したりして緊張した中でのライブがスタートした。
そんなわけで、いつもだったらライブ中は、事務所からゆっくり山田さんの演奏を見て過ごすのだけど、今回はバタバタしながらあっという間にライブが終わった。だけど楽しかったなあ。
オープニングの1曲目は、9周年記念のメッセージ「ON CLOUD NINE」に因んでジョージ・ハリソンのカバー、「Got My Mind Set On You」を演奏。この曲が収録されているアルバムのタイトルが、「CLOUD NINE」で、9周年記念メッセージを山田さんに伝えた時、すぐにこのアルバムのことを話してくれた。そしてもちろん「notebook song」をはじめ、旅をテーマにした山田さんの名曲もたくさん演奏してくれたし、途中に流した動画では山田さんがお客さんとしてトラベラーズファクトリーに買い物に来るという寸劇も披露。個人的に一番嬉しかったのは、以前僕がアメリカ出張の際にモリッシーのライブに行ったというエピソードとともに「Everyday Is Like Sunday」を歌ってくれたこと。
歌う前には、山田さん曰くこじらせた思春期を過ごした人はみんな持っていたというモリッシー詩集から、気が滅入る退屈な日曜日に、世界の破滅を願うこの曲の詩を朗読。ロサンゼルスのハリウッドボウルでのモリッシーのライブで聴いた時と同じくらいしみじみと感動する体験になった。
こちらのライブ、10月24日までアーカイブがご覧いただけますのでぜひ>>。また山田稔明さんは今後もさまざまなライブ配信イベントを行う予定です。活動については山田さんのブログで随時発表していますので、こちらもぜひ>>
トラベラーズファクトリーでは、9周年記念イベントとして10月21日より、ノベルティバッグのプレゼントや記念スタンプの設置を各店で行います。また10月23日、24日にはエアポートが再び臨時営業。ここでもちょっと特別なことを企画していますので、ぜひ。