2021年11月29日

恋するトラベラーズノート

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この前、トラベラーズファクトリーが友人ならトラベラーズノートは恋人みたいな存在かもしれないなんて、恥ずかしいことを書いてしまったけど、さらに言ってしまうと、僕にとってのトラベラーズノートとの出会いは、一目惚れみたいなものだった(そのいきさつについては、『トラベラーズノートオフィシャルガイド』に書いたので、ぜひそちらを読んでください。この本も細かく増刷を繰り返し、おかげさまで11月に4刷になりました)。

一目惚れのまま突き進むような甲斐性は僕にはない。でも使うほどに自分と相性がぴったりだと感じたし、もしかしたら君も僕に気があるんじゃないかな、と思わせるようなおおらかな人なつっこさもあって、自然と相思相愛のような関係になっていった(いや、本気でそう思っていたわけじゃなくてあくまでも例え話ですよ)。それからは旅でも仕事でもどこに行くにもたいていいつも一緒で、楽しいことも辛いことも共に味わうまさに人生の相棒のような存在になっていった。

トラベラーズノートと出会う前は、年末が近づくと来年はどのダイアリーを使おうか悩んでいたけど、この15年は、いっさい悩むこともなく浮気せずにトラベラーズノートのダイアリーを使っている。
 
これというものに出会って決めてしまうと、毎年同じダイアリーを使うというのは、お互いの性格や癖がよく分かっている長い付き合いの相棒といった感じで心地よく使えるし、それが年を重ねて何冊もたまっていくのも、一緒に歴史を重ねてきた証のようで嬉しい。表紙に色とりどりのステッカーが貼られた使い終わったダイアリーを並べてみれば、一緒に過ごしたその年を記憶を素敵に思い出させてくれる。ノートリフィルは、そのときの用途や気分で使い分けているけど、新しいノートをセットすることで、はじめて出会ったときの新鮮な気持ちを思い出すことができる。

トラベラーズノートを使っている方ならきっと共感してくれるかもしれないけど、このノートはゴムの結び目の膨らみとか、開いた状態で落ち着かないといったような、独特の使いづらさや面倒さもあって、最初はそこにちょっとした違和感を抱く。だけどこのノートを好きになってしまうと、カスタマイズしたり、自分なりに工夫したり、さらにその面倒さをいっそ受け入れてしまうことで、だんだん気にならなくなる。そんなところも恋人っぽい。

好きになって付き合ってしばらく経つと、ちょっとした考えの違いとか、気に入らないところが見つかって、違和感を感じることってありますよね。だけど、それをお互いに直そうと努力したり、さらにそんな欠点と思えるようなことも受け入れることができれば、付き合いが続いていく。欠点はその人の魅力の裏返しでもあるから、「そこがまたいいところでもあるんだよね」と言うことだってできる。

トラベラーズノートに向き合っていると、もともと自分にとってネガティブなポイントだと思っていた字が下手なことや、物が扱いが雑ですぐに傷を付けてしまうようなことも、それが味のように感じられて、まるでノートから「そこがまた君のいいところでもあるんだよね」と言ってくれるような気分にさせてくれる。そんなこと言われたらやっぱりぐっとくる。だから自分もトラベラーズノートの使いづらさや面倒なところも、「そこがトラベラーズノートのいいところなんだ」と素直に思ってしまうのだ。

すべてにおいて完璧な人間なんて存在しないようにトラベラーズノートもまた不完全であるがゆえに使い手の不完全さにも寛容で、それを温かく受け入れてくれることが魅力だと思っている。それこそ理想的な恋人とか伴侶なのかもしれないですね。

付き合いはじめてから15年。正直に言えば、トラベラーズノートは作るにも、販売するにもけっこう手が焼けるじゃじゃ馬みたいなプロダクトでもある。でも「そこがまたいいところでもあるんだよね」と思いながら15年間、続いている。2021年もあと1ヶ月ということで、また来年もよろしく頼むよ、なんて思いながら今年も2022年版の新しいダイアリーをセットした。
 
僕らと同じように長く使い続けてくれている方もたくさんいると思うし、何度か別れを繰り返しながら付き合い続けている腐れ縁みたいな方もいるかもしれません。至らない点も多々あるとは思いますが、「そこがまたいいところでもあるんだよね」と寛大な気持ちで向き合っていただけると嬉しいです。

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