2021年12月 6日

2021年もあと1ヶ月

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2021年もあと1ヶ月を切った。コロナ禍2年目となる今年は、東京ではほぼ4分の3の期間が緊急事態宣言ということで、トラベラーズファクトリーもその影響をたっぷり受けたし、旅もできず、人と会う機会も減り、そのせいもあり不本意な出来事もいくつかあって、特に前半は個人的になかなかタフな1年だった。
 
コロナ対策という名のもと、デジタルやオンラインが必要以上にもてはやされ、逆にアナログや旅、モノに触れたり、そこに行ってリアルに会うことが否定されたり、軽んじられる風潮に、ストレスや違和感を抱くこともあった。変化や新しいことに否定的な態度をとるような人にはなりたくないと思いながらも、みんなそれが本気で良いことだと思ってるの? と疑いたくなることも多々あった。もちろん、否定的なことばかりではなく、そのおかげで、トラベラーズとしても新しくチャレンジできたこともたくさんあったし、むしろそんな状況の中で、トラベラーズにとって本当に大切なことは何かと改めて見直す機会にもなったと思ってもいる。
 
その一つの回答としてB-Sides & Rarities を作り、リリースすることになったし、『トラベラーズノート オフィシャルガイド』を出版する機会を得て、トラベラーズの今までの活動を本という形にまとめることもできた。

緊急事態が明けてからは、トラベラーズファクトリー10周年とあわせてそれまでさまざまな事情でリリースを控えていたコラボレーションの発売が一気に重なった。トラベラーズファクトリーはじめ、各スタッフには多大な負担をかけてしまったけれど、たくさんの方が足を運び、喜んでくれるのを知って、心からありがたく思っている。

おかげさまで10周年企画も好評を得ているし、オフィシャルガイドに台湾ビールやスナフキンとのコラボをきっかけにトラベラーズノートに興味を持ってくれた方がたくさんいるとの声を聞いたり、スナフキンのコラボアイテム発売の数日後に来店してくれたお客様が、「発売日は忙しくて大変だったでしょ」と労いの言葉とともに差し入れを届けてくれた、なんて思わず嬉しくて涙が出そうになるようなエピソードをスタッフから聞くことができた。

最近は来年にはお披露目できそうな新しい企画やコラボレーション、イベントの話もいつかある。厳しい状況の中で始まった2021年も10月頃から、前半での苦労が物語の伏線のように回収され、終盤に盛り上がる映画のクライマックスのようになっているとも思える。まだ片付いていない問題もあるし、悩ましいことだってたくさんあるけど、とりあえず次の1年も頑張れそうな気になってきた。

ちょうど、このブログを書く前に、『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』という映画を見た。1987年のアメリカを舞台に、ザ・スミスの解散に絶望する若者たちを描いた映画に感動しながら、トラベラーズノートは彼らの音楽みたいな存在になりたいんだ、と改めて思った。

「だけど、君を笑顔にしてくれたあの歌を忘れちゃだめだ
 涙を流しながら聴いたあの歌を忘れないで
 君を救ってくれたあの歌を忘れないで
 今では君はすっかり歳をとって小賢しくていやなやつかもしれない
 だけど歌だけはずっと君の味方だったんだ」
 (Rubber Ring / The Smiths)

終わりよければ、すべてよし。バタバタ忙しいのは相変わらずだけど、自分たちにとって大切なこと見失わずにあと1ヶ月がんばっていきたいな。

『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』

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