2024年1月 9日

NEW YEAR LOTTERY since 2013

 2024年が始まり、トラベラーズファクトリーの新春イベントも無事終わっての休日。中目黒で買ったアアルトコーヒーの深煎りマンデリンを飲みながら、ほっと一息つく。毎年思うのだけど、新春イベントが終わると、いよいよ新しい年が始まったんだなとしみじみと実感できる。

 イベントでお客さんに聞かれたので調べてみたら、トラベラーズファクトリーの新春イベントは2013年が最初だった。なので今回の開催で、12回目ということになる。トラベラーズファクトリーをオープンするときに、なんとなく決めていたルールのひとつに、安売りのセールをやらないということがあった。でも、年に一度くらいは、値下げではない形で、お客さんに何か還元できるようなことをしたいと思ったのが、最初のきっかけだった。

 タイのヴィンテージマーケットで買った古いガチャガチャの機械が、トラベラーズファクトリー中目黒の2階にディスプレイとして置かれていた。1バーツのコインを入れてハンドルを回すと、日本のものより小さな卵形のカプセルが出てくるのを、購入時にちゃんと確認していたので、これを使って、福引くじをやろうと考えた。そこで、タイに出張の際には、ガチャガチャ用のカプセルをたくさん買って、さらにガチャガチャを回すための1バーツコインもたくさん持って帰った。

 景品には、新春用に橋本が新春用にデザインしたカンバッジとステッカーを作った。他にも、ファクトリーがオープンする前に開催したイベント用の商品の残りや、ちょっとした仕様変更などがあって販売できなくなった商品、生産時の予備分として工場に眠っていたリフィルなども景品として用意した。

 さらにそのタイミングで、たまたまテスト用の試作として作っった、コーヒーテーブルトリップのロゴをシルクプリントした革カバーがあったので、それを何冊か追加でチェンマイの工房に作ってもらって、一等賞の景品にした。新年だし、くじ引きとあわせて、コーヒーを飲みながらお客さんとお話をしたいと思って、コーヒーを淹れて振る舞うことにした。そして、イベントの前日には、わいわい話しながら、みんなでカプセルの中に当たりくじを詰めて準備をした。

 イベント当日は、予想よりもたくさんの方が足を運んでくれて、それまではディズプレイでしかなかったタイのガチャガチャが大活躍。急にガンガン使い始めたせいなのか、途中何度も具合が悪くなって、お客さんをお待たせしてしまうこともしばしばだった。それでも、今よりはお客さんの流れもゆっくりだったから、修理をしながらイベントを続け、夕方になると僕もコーヒーを飲みながら、お客さんとのんびり話をすることもできた。

 その後、エアポートに、ステーションが新たにオープンしてからも、準備が大変だし、スペースも狭いこともあって、新春イベントは中目黒だけで開催していた。他の店舗でも開催することにしたのは、京都がオープンした翌年からだった。

 京都はコロナ禍が始まり、最初の緊急事態宣言が明けたタイミングの2020年6月にオープンした。2021年の年始は、感染者が減ったわけではないのだけど、Go To トラベル(今では懐かしい響きですね)の影響もあって少しずつではあるけど、お客さんも増えていたタイミングだった。

 そこで2021年の新春イベントは、京都でも開催することを決め、ならばとステーションでも開催することにした(エアポートはまだ休業中)。ステーションの開催は、まだコロナ感染の心配がある中で、中目黒と東京駅にお客さんの流れを分散できたらいいなということもあった。さらに正直なことを言えば、2020年はコロナ禍の影響をもろに受け、売上も壊滅的だったから、2021年は良い形でスタートしたいという想いもあった。

 このときから、福引は三角くじで行うことにした。タイのガチャガチャは中目黒に1台しかないし、たくさんの人が同じものに手を触れることを避けることが推奨されていたから、触った後にそのまま捨てることができる紙のくじはが良いのではと思ったのだ。イベントが終わった直後に、何度目かの緊急事態宣言が発令され、2021年は依然コロナ禍の影響を大きく受けた1年間になるのだけれど、それでもこの年の新春イベントは、各店で久しぶりの賑わいを見せてくれた。

 その翌年、つまり昨年の新春イベントで、一等のトラベラーズノートを抽選にしたのは、転売を防ぐための苦肉の策だった。せっかくみなさんに楽しんでいただきたいと考えて作った当たりが高額で転売されているのを知って、なんとかできなかと考え、応募券に「転売をしない」というチェック欄を設けることにしたのだ(もちろん、それですべてが抑制されているわけではないかもしれないけれど)。

 そして、今年2023年は、エアポートを含めた初の全店舗での開催となった。さらに、昨年に続いて振る舞いコーヒーもできた。今回から三角くじをやめて、日本の福引の定番、ガラガラを導入した。このガラガラくじは、海外の方にはめずらしいようで、玉がでないくらいの早いスピードで回す方に、不思議そうに写真を撮る方もいて、日本的なものなのだと気付かされ、そんなことも楽しかった。ちなみにこのガラガラの正式名称は、新井式回転抽選器と呼ぶそうで、帽子屋の新井さんという方が考えたそうです(とウィキに書いてありました)。

 そんなわけで、トラベラーズファクトリーの新年の恒例行事、新春イベントもさまざまな変遷を経ながら今に至っています。正月にあんな大変なことが起こると、2013年以来、毎年欠かすことなく、同じタイミングでイベントを続けられてきたことが、貴重でかけがえのないことに思えてきます。

 正月から一週間が経ち、少しずつ明らかになってきた被害の大きさに心を痛めます。被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。そして、少しでも早い復旧をお祈りします。

 そんな中ではありますが、私たちはトラベラーズノートやトラベラーズファクトリーを通じて、少しでも誰かの心を前向きに、穏やかにできるようにがんばります。皆さまが、少しでも早く穏やかに日々を過ごせますように。


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