2025年4月28日

Have nice holidays with LOVE AND TRIP!

 無事トラベラーズノート LOVE AND TRIPが発売され、おかげさまで好評いただいているようで、まずはホッとしています。

 発売日の前日、トラベラーズファクトリー中目黒に行った。新しい商品がリリースされるということで、2階の黒板を書き換えようと思ったのだ。だけど、中目黒の黒板はもう半年以上 LOVE AND TRIPが続いている。最初は9月のダイアリー発売のタイミング。このときは、「トラベラーズノートにはどれも使い手の愛がたっぷり込められている」とのメッセージが添えられたハートとトラベラーズノートの絵を描いた。

 そして、次は年が明けて1月。大掃除をしてきれいに拭いた後の黒板に、クリアホルダーのイラストを描いた。これは、トラベラーズノートを中心に、愛猫にカメラにビール、愛する人とのポートポートレイトなどを描いて、好きなものに囲まれているシーンを表現した。イラストのダイアリーには僕が個人的に好きなバンドのシールを貼ってみた。この絵から感じてもらいたかったのは、何かを好きになることで、生活が豊かで楽しくなるということだ。さらに、嫌いなことをののしるよりも、好きなことを好きだと宣言しようという想いでもあった。

 そして、先週。何を描こうか悩んで、レギュラーサイズのリフィルの表紙のデザインを描くことにした。LOVE AND TRIPのロゴに鳩、そして、鳩の周りには、「トラベラーズノートに平和の鳩を描こう」というメッセージがある。

 今回、赤いトラベラーズノートをリリースするのにあわせて、「LOVE AND TRIP」というテーマをあえて掲げているのは、何度も書いているように、戦争が続き、分断や対立を煽ろうとする世界的な風潮に対するアンチテーゼからだ。だから、ハシモトはモチーフとして鳩をデザインしたと思うし、僕もトラベラーズノートが人と人を繋げる、平和の象徴のような存在になりたいと思って、平和の鳩を描こうというメッセージを考えた。

 リフィルの表紙を見ながら、黒板に描いていると、中目黒のスタッフは翌日の準備が終わったようで、「おつかれさまです!」と言いながら帰っていった。僕も「明日は、忙しいと思うけど、よろしくね」と声をかけながら、黒板にガシガシを絵を描いていく。

 外は真っ暗で誰もいない夜のトラベラーズファクトリーも僕は好きだ。それがイベントや新しい商品の発売日の前日だったりすると、翌日の賑わいを想像するのも楽しい。誰もいなくなると、僕は手を止めて、LOVE AND TRIPのプレイリストをBGMに流した。ひとりで、ステキな音楽を聴きながら、無心で黒板に絵を描いていると、日々の悩みやストレスがすっと溶けていくようで、心が穏やかになっていくのがわかる。僕はすっかり気分がよくなって、「グレープフルーツ・ムーン〜、ワン・スター・シャ〜イニンング」なんて口ずさみなんでいると、ドン・ドン・ドンと裏口のドアを叩く音とともに、人の声が聞こえた。僕は、思わずドキッとして心臓の鼓動が加速した。

 夜の9時を過ぎたころ。もうとっくに閉店時間が過ぎているし、1階の灯りも消えている。なんだろうと思いながら、階段を降りてドアを開けると、暗がりに異国の男が一人立っていた。

「ハロー」と言うと、続けて「昼間にここに来たんだけど、鍵が落ちてなかったか?」と英語で尋ねてきた。僕は「OK、探してみますね」と言って、忘れ物が置いてありそうなところを何ヶ所か探してみるけど、見つからない。さらに「店長に聞いてみる」と言って、メールを入れてみた。すると、すぐに返事が来て、「他のスタッフにも聞いてみたけれど分からないです」とのこと。男は、がっかりしたような顔をすると、携帯で誰かに電話をしてから、「分かった。他を当たってみるよ」と言って、慌てた様子で帰っていった。「見つかるといいね」と言って僕は見送った。

 まあ、それだけのことなんだけど、予想外の展開に少し動揺した僕は、気分を変えて、黒板を仕上げた。そして、リフィルを片手に写真をとって、「いよいよ明日4月24日は、トラベラーズノート LOVE AND TRIPの発売日です」とインスタにアップした。

 そして発売日、おかげさまでトラベラーズファクトリーをはじめ、世界中のお店から、赤いトラベラーズノートが旅立っていくことができました。たくさんの人が、このノートとともに旅をして、愛で繋がることができたら嬉しいです。

 話は変わりますが、ゴールデンウィークがはじまりました。ということで、僕も今週末に香港て行ってきます。ゴールデンウィークなので仕事ではなくてプライベートでの旅です。香港は、2019年以来なので6年ぶり。前回は、LOG ONのイベントでの訪問だった。長年勤めたシティースーパーを辞めたパトリックにも会ってくるので、それも楽しみ。

 先日、香港気分を高めようと、日本でもカルト的なヒットをしている映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』を観た。混沌とした英国統治時代の香港の象徴のひとつでもある九龍城砦を舞台にしたアクション映画なんだけど、おもしろかったなあ。

 ブルース・リーにジャッキー・チェンの香港カンフー映画の王道の雰囲気がありながら、今の時代にバージョンアップされた映像やアクションシーンも素晴らしかったし、なにより前時代的な無法地帯である九龍城砦が、憧憬とともに描かれているのがいい。あれから香港がどう変わったのか不安もあるけれど、この映画が香港で大ヒットして、続編の話も進んでいるというのを知ると、久しぶりの香港への期待も高まります。

 お休みの方も、お仕事の方もよいゴールデンウィークをお過ごしください。