2025年8月25日

The TRAVELER’S SPIRIT Preservation Society

 来年、2026年はトラベラーズノートが20周年を迎える。発売と同じ年に生まれた子どもは20歳になるわけで、ずいぶん長いことがんばってきたな、という感慨はある。それと同時にそれなりに歳をとったんだな、なんて思ったりもする。まあ、久しぶりに会う子どもの年齢と聞いたりすると、よくそんなことを思いますよね。

 そんな中で、次のダイアリーのテーマをハシモトと相談する際に、2026年は20周年だし、トラベラーズノートの本質的な思いみたいなものをテーマにしよう、となった。

 トラベラーズノートは発売以来ずっと、必要な機能や用途を満たすためだけの道具ではなく、気持ちや心に訴えかける道具でありたいと思っている。このノートを手にするだけで、旅に出たり、表現したり、新しい何かをはじめたくなるようなものでありたい。それは発売以来、ずっと僕らが大切にしていることでもあるし、その根底にあるのは、もの自体が発する想いや心意気だと思っている。

 今回、それをあらためて「トラベラーズスピリット」と定義して、それをメッセージやデザインで表現しようと考えた。そして、それこそ、20周年を迎える年のダイアリーのテーマにふさわしいのではないかと思った。

 The TRAVELER’S SPIRIT Preservation Society(トラベラーズスピリット保存協会)というタイトルにした最初のきっかけは、キンクスの「The Village Green Preservation Society」という曲だった。だから、2026ダイアリーの仕事をしているときには、テーマソングのように頭の中で鳴り響いていた。この曲についてはこちらで書いているので、気になる方はチェックしてみてください。

 それに「Preservation(保存)」という言葉は、20年前からずっと僕らの心にトラベラーズスピリットがあったし、これからも変わらず持ち続けたいという思いを表現するのにぴったりだと思った。

 さらに「Society(協会)」とすることで、トラベラーズスピリットを持つ人は、決して一人じゃなくて、同じ想いを共有し、安心して好きなことを語り合える仲間がいることを示したかった。クリアホルダーのイラストは、そんな想いを表現したくて描いた。

 トラベラーズスピリットとは、なんだろうと考えるとさまざまなイメージが頭に浮かんだ。

・革や紙を偏愛する、アナログの魅力に取り憑かれた人たち。
・旅に憧れ、移動することに喜びを感じ、ここではないどこか遠くを夢見る旅人たち。
・お仕着せのルールを嫌い、面倒であっても自分流のやり方を探そうとする厄介者たち。
・将来のためでも、お金のためでもなく、何の得にならなくても、ただノートに向かい、何かを書いたり、描いたりする衝動を止められない無名の表現者たち。
・なぜか他のみんなが好きじゃないものを好きになってしまう孤独なひねくれものたち。

 公式サイトやダイアリーのデザインでは、他にもレコードや紙の本に、家族経営の食堂やローカルコーヒーが好きとか、ロードトリップや冒険の旅などをあげていますが、あえてそこで表現しづらいことを中心に書いてみました。上に羅列した項目に二つ以上当てはまるものがあれば、あなたの心の中にトラベラーズスピリットがあるはずです。トラベラーズスピリット保存協会に加入することができます。もし、全部当てはまる、なんて人がいたら、かなり重症です。すぐにトラベラーズスピリット保存協会に加入して、VIPメンバーになることをおすすめします。

 必要なものは会員証となるトラベラーズノートと2026ダイアリー。それ以外はなにも必要ありません。自由です。ただ、革や紙を愛し、旅をして、自分が好きなことに忠実に、何らかの表現を続ける。それだけで、誰でもトラベラーズスピリット保存協会の会員です。旅先でトラベラーズノートを手にした人がいたら、勇気を出して声をかけてみてください。なかかな出会えないようであれば、トラベラーズファクトリーや世界各地にあるパートナーショップにお立ち寄りください。もちろん、孤独を愛してひとりで活動をするのも自由です。

 そんなわけで、まだ少し先ではありますが、2026年、トラベラーズスピリットとともに良い旅を。