読書月間 2025
トラベラーズファクトリー中目黒のイベントで並べる本たちをお預かりするために、weekend booksへ行ってきた。いつもはイシイさんが車を出してくれて、それに乗せてもらって行くのだけど、今回は熱っぽいとのことで、最近またコロナも流行っているし、イシイさんには休んでもらい、急遽レンタカーを借りて、僕が運転して行くことになった。
首都高から東名高速は意外と混んでいて、思ったよりも少し時間がかかったけれど、無事に三島駅に着くと、ハシモトと合流。渋い食堂でミックスフライ定食を食べて、weekend booksに向かった。
weekend booksに着くと、いつも高松さんご夫妻が、お菓子とコーヒーを用意して待っていてくれる。そこで、お互いの近況から、映画や本のことなどを話して親交を深めるのがいつもの楽しみでもある。読書月間イベントも今回で14回目。当初は高松さんが中目黒に来てくれたり、weekend booksでイベントを開催したこともあったけれど、いずれにしても年に1度、こうやってゆっくり話をするのを14回繰り返してきたことになる。
14年の月日が経ち、その分、お互い歳を重ねているから、最近は健康に関する話が多くなったのも、必然だと言える。この日も話は盛り上がり、2時間ほどがあっという間に過ぎてしまいました(お話に熱中しすぎて、店内の写真を撮るのをすっかり忘れてしまいました。今回の沼津行きの唯一の写真が、ミックスフライ定食だったのでそれを掲載しました)。
weekend booksの高松さんとの付き合いは、トラベラーズファクトリー中目黒がオープンして間もない頃に、店に来てくれたことから始まった。高松さんはトラベラーズノートのユーザーで、東京に来た際にご夫婦で立ち寄ってくれたのだ。トラベラーズファクトリーには本も置いてあるし、僕は本が好きなこともあって、高松さんと本やノートのことをゆっくり話した。その翌年に、今度は僕らが沼津のweekend booksへ行き、そこで最初の「読書月間」のイベントが決まった。
今年、いつもと違っていたのは、weekend booksとのコラボレーションリフィルのサンプルがあったこと。サンプルの仕上がりがぎりぎりになってしまい、この日に合わせて、流山工場から送ってもらうことになっていた。なので、実際のサンプルを見たのは、僕もハシモトもこのときが初めてだった。高松さんも心からその仕上がりを喜んでくれているように見えた。
7月、このリフィルの制作の前に、リモートで高松さんからデザインのイメージを伺う打ち合わせがあった。そこで、高松さんのお話を聞きながら、ハシモトはデザインをした。最初にハシモトからメールでデザインが届いたとき、僕も一緒に聞いていた高松さんのお話をデザインとしてまとめ上げたハシモトに、「すごいなあ」と改めて感服した。出来上がったリフィルは、まさにweekend booksらしい、というか、高松さんらしいデザインになったと思っている。
このリフィルをデザインするときのハシモトは、まさに高松さんに喜んでもらいたい、という想いが一番にあったのだと思う。この「誰かを喜ばせたい」という気持ちこそが、ものづくりにおいて最も大切なモチベーションなんだと、あらためて気付かされた。
こちらのリフィルは、「読書月間」イベントのスタートとあわせて、9月3日より、トラベラーズファクトリー各店で発売します。また、沼津のweekend booksでも同日より販売しますので、お近くの方は、ぜひweekend booksにも足を運んでみてください。高松さんがセレクトした古書がたくさん並ぶ、素敵な本屋さんです。行かれる際は、インスタ等で営業日や営業時間を事前にご確認ください。
ちなみに、読書月間では、weekend booksとのコラボレーションリフィルとあわせて、限定ブックカバーも発売します。こちらを作ったきっかけは、コラボレーションリフィルとは、180度違っている。
2ヶ月くらい前のこと。トラベラーズファクトリーの定番であるコットンブックカバーを作る工場から、「ベージュのブックカバーを作っちゃったんですけど……」と連絡があった。
この工場はコットンジッパーケースも作っていて、ジッパーケースはオリーブ、茶、ベージュの3色を定番としているのだけど、同じ生地を使うブックカバーは、オリーブの茶の2色を定番にしている(理由は単純にジッパーケースよりブックカバーの方が販売数が少ないため、抱える在庫を多くしたくないから)。
「えー、なんで注文してないのに勝手に作っちゃったんですか?」と僕は言ったけれど、「スタッフが間違えて、作っちゃったんです。だから買ってもらえないですか?」と工場は、理不尽な要求をしてきた(もちろん、丁重に言ってきたし、穏便な話し合いですよ)。こちらが受け入れを断ると、廃棄になってしまうとのこと。それももったいないので、何かいい方法がないか考えることにした。
そこで、9月から読書月間イベントが始まるし、その限定のブックカバーで発売するのはどうかと考えた。岩波文庫やちくま文庫をはじめ、文春、光文社、集英社、中公、新潮など、多くの文庫本の本体はベージュの表紙だし、そこにトラベラーズブックスのロゴが印刷されたら、トラベラーズ文庫みたいだと思った僕は、シルク印刷をしてもらうことを条件に、ベージュのブックカバーを買い取ることを約束した。
そうして、届いたブックカバーに本をセットしてみると、なかなかいい感じ。なんだか怪我の功名みたいだけど、そんな理由で商品が生まれることもある(いや、こんなことは滅多にないですよ)