2026年1月 1日

HAPPY NEW YEAR 2026

 あけましておめでとうございます。2026年になりました。

 といっても、これを書いている今は、まだ2025年です。年末年始の休みに入ると、早々と家の掃除を済まして、一人で旅に出ることにしました。寒いのでいつもの自転車ではなく、久しぶりに電車でどこかに行こうかと調べてみると、冬休み期間ということで青春18切符が発売されています。そこで18切符を手に入れて、鈍行列車で西に向かい、今名古屋にいます。

 昨日、名古屋に着き、今日も名古屋に泊まる予定なので、特にやらなくてはいけないこともありません。ここでしようと思っていたこともないし、行きたい場所もありません。なのでカフェに入って、年明けにアップするブログを書くことにしました。だったら、なんで名古屋にいるのかと聞かれると、返す言葉は見つかりません。理由は、鈍行列車で1日かけてくるのにちょうどよい距離だったのと、良さげなサウナ付きカプセルホテルがあったから、くらいでしょうか。

 最近は、歳のせいなのか、旅先だから何か特別なことをしないといけない、という切迫感みたいなものもなくなりました。ただ日常から離れて、馴染みのない場所にいるだけで旅の高揚感が味わえるし、それを無理せずにしみじみと味わいたいと思うくらいの余裕が生まれたのかもしれません(やっぱり歳のせいかな)。

 それでも、昨日の夜は前から食べてみたいと思っていた味仙の台湾ラーメンとニンニクチャーハンを食べたし、このブログを書いているカフェは、名古屋が本場のコメダ珈琲です。ちなみにコメダ珈琲はメニューも店内の雰囲気も東京と一緒で、特別違いを見つけることができませんでした(当たり前ですね)。台湾ラーメンはクセになりそうな辛さで、思い出しただけでよだれが出てきました。このままだと今夜も食べてしまいそうです。

 年末なので名古屋も街は賑やかですが、何の目的もない一人旅ということで、その喧騒の中にいながらも、不思議と落ち着いた気持ちでいます。忙しい日々から解放され、のんびりと何もしない自由を楽しんでいます。東京にいたら、無為に時間を浪費しているようで、ちょっとした罪悪感を感じそうですが、そんな感覚がないのは、やはり旅に出ているからなんでしょうね。

 長く続く鈍行列車の移動時間や、サウナでボーッとする時間、2025年にあったことを思い出していました。世界を見てみれば、戦争は相変わらず続いているし、トランプ大統領の就任から続く政治的な混乱は収まる気配がありません。分断と対立は世界各地で深まり、日本もそれに加担しているかのように見えます。今年の冒頭、そんな状況に対するアンチテーゼとして、「LOVE AND TRIP」をテーマに掲げていますが、当然それで世界が変わるわけでもなく、ただ無力感が残る1年だったとも言えます。

 今年、久しぶりに香港とタイを旅して、あらためて円安を実感しました。かつては安いからと、日本では食べられないようなレストランでご飯を食べていたけれど、今では地元の人しかいないようなローカル食堂でも日本より高いと感じることもあります。そんな中、円安はさらに進んでいます。日本人である僕らが生み出す価値が相対的に低くなっていることを実感した1年でした。だからなのか、以前と比べると、旅先で日本の人に会う頻度はかなり減ったような気がします。さまざまな事情はあると思いますが、トラベラーズとしては、やっぱり旅をもっとしてほしいと願います。

 AIの進化はますます進み、会社の中でもどう活用していくのかという議論も活発に行われています。便利な道具として使うことは否定しませんが、AIに対して漠然と感じる違和感もまた心に留めておきたいと思います。インターネットもスマートフォンもSNSも、その功罪は別にして、最初に触れたときにはそれなりにワクワクしたのですが、AIについてはそれがありません(これも単に歳のせいかもしれないですが)。そもそもノートに何かを書いたり、描いたり、貼ったりする行為自体が、AIと対局にあるものです。それゆえにAIのアンチテーゼとして、カウンターであり続けることもまたトラベラーズノートの使命だと感じた1年でもありました。

 そんな中ではありますが、2026年を迎えます。2026年のテーマは、「TRAVELER’S SPIRIT」です。AIの活用が声高に叫ばれる中でも流されることなくアナログを偏愛し続け、分断が広がる世界で、あえて旅をしてその文化に触れ、直接人と出会い話をすることでお互いを理解しようとする。ネットやAIから得られる情報よりも、旅先での体感や直感を信じて、旅するように毎日を生きる。トラベラーズノートは、生きづらい世界のカウンターでありたいのです。自分にとっても、みなさんにとっても、トラベラーズノートがあることで、この世界が少しでも居心地のよい場所になってほしいと願っています。

 そして、2026年はトラベラーズノートが発売して20周年、さらにトラベラーズファクトリーがオープンして15周年を迎えます。周年に向けた企画は決まっていることもあれば、まだ決まっていないことも多々ありますが、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

 話は変わりますが、今年のトラベラーズファクトリーの新春イベントは、例年と違い、ステーションは開催せず、中目黒と京都は抽選予約とさせていただきました。福引を引くための抽選という、なんとも微妙な方法で申し訳ありませんが、お客様に少しでも快適に楽しんでいただきたいという思いでこの方法といたしました。なにとぞご理解のほどよろしくお願いします。

 さて、ここまで書いて、まだ午後2時。だいぶ長居をしてしまったので、そろそろコメダ珈琲を出ようと思います。相変わらずやることもないので、映画でも観に行こうかな。

 それでは、2026年も引き続きトラベラーズノートをよろしくお願いします。皆さまにとって2026年が素晴らしい1年であることを心より願っています。
 
 2026年、トラベラーズスピリットとともによい旅を!