2008年10月24日

Typewriter

古道具屋を覗いていたら、古いタイプライターを見つけました。触るのも躊躇するような値段だったので、それが動くのかどうかを確かめることは出来なかったのですが、その圧倒的な存在感は今の道具にはなかなか見られないものでした。
 
会社にも電動式のタイプライターがあって、海外貿易の文書などを作成する際に使っていたのですが、さすがにPCとネットの普及で必要がなくなり、会社の引っ越しのときに廃棄されてしまいました。独特の活字や印字する時のカタカタという音が好きでした。
 
カート・ヴォネガットの「国のない男」の中に、タイプライターで小説を書いていたときの話があります。 タイプで打った原稿にチェックを入れて、それをタイピストに清書してもらう。そのために、チェックが終わった原稿に丁寧にページを記入し、文房具屋で封筒を買って原稿を入れ、さらに郵便局に行き、並んでいる他の客と会話を楽しみ、お気に入りの局員に託す。
 
そんな一連の行動がいかに楽しいことだったのかを伝えてくれます。でも、いまはパソコンで入力し送信ボタンをクリックしたら終了。ちょっとした便利さが、多くの楽しみを奪うこともあります。
 

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