2009年3月 3日

旅先のカフェ Samick Cafe / Seoul

もう20年くらい前になりますが、学生時代の冬休みに男3人で韓国に行った時のこと。

夕方ソウルに着き、安宿にチェックインすると、もう街は夜の顔をみせていました。はじめての街だったこともあり、浮き足だって、繁華街に向かいました。まずはお腹を満たそうと入ったのが、石焼きビビンバのお店。今では日本でもめずらしくないですが、当時の私にとっては、初めて食べる味。その数日後、この店の本店がある全州まで行くほど感動でした。
 
その後、ぶらぶらと夜のソウルの街を歩いていました。すると、地元の若い男が話し掛けてきました。その若者は日本語も英語もほとんどしゃべらず、身振り手振りで付いてくるように訴えてきました。
 
海外でのそんなシチュエーションは、危ない誘いであることが多く、1人だったら無視していたのですが、その時は、男3人であったこともあり、調子にのってついて行くことにしました。そして、若者が入ろうと指を差したのは、普通のカフェでした。光るネオンの看板に書かれていたのはSamick CAFEという文字。バンドをやっていた僕たちにとっては、なじみのあるロゴでした。
 
Samickは、韓国の楽器メーカーの名前。僕らの間では、フェンダーやギブソンのコピーモデルを作っているメーカーとして知られていました。当時としては最も安い価格で売られているギターだっため、初心者が最初の一台として買うことが多い、そんなメーカーでした。
 
馴染みのある楽器メーカーがやっているカフェ。そんなカフェがあることなんて知らなかったのに、そこにたどり着き、さらにそこに連れてきた人がまったく偶然出会った人。とても不思議な感じを抱きました。
 
そのカフェに入ると、コーヒーを飲みながら、その若い男と話をしました。と言っても、お互い相手の言葉をほとんど理解できないため、あまり深い話はできません。若い男同士の話の常で、韓国の女性と日本の女性はどう違う?というようなことを話したような気がします。
  
最後、なんとなく流れで彼のお茶代はこちらで支払ったのですが、そのままバイバイと言って別れました。もちろんお茶代もごく普通の値段でした。結局、彼は何の目的で私たちをこのカフェに誘ったのでしょうか?なんとも不思議な出会いでした。
 
その後、韓国を歩いていると、何度か美味しいお店を教えてくれる人に出会いました。それらのお店は地元の人が多い穴場的な食堂で、安くて美味しいものが食べられました。きっと、その若者もそんな穴場のお店を教えてくれるつもりで、Samick Cafeを教えてくれたのかもしれません。
 
WBCが始まるということで、韓国のことを思い出しました。