2009年4月13日

Bruce Chatwin / The Songlines


 
雑誌などで旅本の特集になるとよくセレクトされるのがブルース・チャトウィンの本。でも、そのすべての本が絶版で手に入らない状態が続いていて、古本屋に入るたびにチェックをしていました。
 
そんなブルース・チャトウィンの代表作2作を偶然ほぼ同時期に手に入れることが出来ました。「パタゴニア」は古本屋、「ソングライン」は、最近やっと復刊されることになり、新刊本を購入。今回は手に入りやすい「ソングライン」の方を紹介します。
 
ソングラインとは、オーストラリアの先住民アボリジニの間に古くから受け継がれてきた歌。その歌は先祖が歩いて来た足跡を示し、その道は彼らにとって聖地となっています。
 
アボリジニは、オーストラリア中を無数に張りめぐらされているソングラインの歌をたよりに歩き、目的地までたどり着くことができたと言います。この本は、ソングラインを巡る紀行文に、ノートに断片的に書かれた旅をテーマにした考察が挿入されるという構成になっています。
 
そこで作者が描くのは、「人はなぜ旅するのか」という壮大なテーマ。その洞察は、人類の祖先がアフリカで誕生する時までにおよびます。本の最後に描かれた、死を迎えるアボリジニが落ち着いた表情で死という最後の目的地へ向かうことを受け入れている姿は、厳しい自然の中で生きていた人々は人生の旅の目的地をきちんと知っていたことを示唆します。
 
良質の紀行文は、旅先の情報というよりは、旅に向き合う姿勢やモノの見方を教えてくれます。そして、それは人が生きていくことの意味でもあるのです。