2009年10月22日

暮らしのヒント


 
トルコのサフランブルという小さな街を訪れた時。ぶらぶらと一人で歩いていると、ふと出会った少年が手招きするので、付いて行きました。すると着いた場所は、街が一望出来る見晴らしのよい丘。きっとその場所を見せたくて連れて来てくれたのです。
 
さらに翌日は、小さな女の子が観光客に解放している旧家を案内してくれました。短い滞在中に、2度もそんなことがあったので、きっと偶然というより、この街には子供たちが旅人を自分が好きな場所に案内するという習慣があるのだと思います。旅に出ると、この時のように旅人の心を和ませてくれる素敵な習慣に出会うことがあります。
 
例えば、タイでお店に入るとスタッフの方がちょっと控えめな感じの笑顔を見せながら手をあわせて「サワディーカー(こんにちは)」と言ってくれるのも気持ちのよい習慣です。
 
山ですれ違う時に知らない人同士でも挨拶をしたり、北海道では、バイクですれ違う旅人同士が、ピースサインをしたりするのも素敵な習慣。
 
旅先でそんな習慣に出合い、快い気分になると、自分やまわりの人達を気持ちよくするようなことを意識して生活したいと思ったりします。しかし日々の忙しい生活の中で、そんなこともすっかり忘れ、思い返すこともなくなってしまいます。
 
この「暮らしのヒント集」は、日々の生活を豊かで気持ちよいものにしてくれるアイデアが箇条書きでたくさん綴られている本です。
 
「きちんと作られたものを大切にする暮らしをしましょう。衣食住すべてに言えることです」
 
「昨日会った人に手紙を書いてみましょう。言葉は少なくても、次に会ったときに誰よりも親しくなれるはずです」
 
「星を見ることを忘れてはいけません。寝る前のほんのひとときでも、星を見つめていると心がやすらぎます」
 
決して新しいびっくりするようなヒントではなく昔誰かに聞いたり、本で読んだことがあるような、もしかしたら当たり前のことかもしれないことが綴られています。
 
でも、最初に書いた旅先で出会った素敵な習慣も、旅人を喜ばせる、笑顔で人と接する、人とすれ違ったら挨拶をするなど、実に当たり前でシンプルな気持ちからはじまっている習慣だということに気付きます。そんな事をあらためて教えてくれる本です。
 
普通に読むと1~2時間で読み終わってしまうのですが、そのあと少しずつ何度も読み返してみたくなるような本です。この中のヒントを、ゆっくりとひとつずつ毎日の生活に丁寧に取り入れ、習慣にすることで、きっと人生がより豊かなものになるはずです。最後に私が、一番ぐっときたフレーズを。
 
「腹をくくれば、たいていの物事は動きます。腹をくくるとは、勇気で支えた強い決意です。」