2010年3月31日

寛容のタイランド


 
先日参加させていただいたTRANSITのトークイベントでは、タイに見識が深い3名の方からいろいろ興味深いお話を聞く事ができました。時間にルーズだったり約束を守らなかったりするタイの人達との生活のエピソードを語っていましたが、印象的だったのが、そんないい加減さに振り回された時、怒るよりも、つい、それを許してしまうタイ人の人柄の話。
 
例えば、チェンマイ大学で講師をしていた高野さんのお話。個人授業をお願いしておきながら、4時間も約束の時間に遅れてやってきた学生がいました。しかも、やるはずの宿題もいっさいやってこない。さすがに怒ろうとすると、その学生は悪びれもせず「先生お腹すいたでしょ?ご飯食べよ」と笑顔で言ってきたそうです。すると、高野さんも、そういえばお腹空いたなあ、という気分になって、ご飯を食べ行ってしまう。そのうち、すっかり怒る気持ちも失せて、楽しい食事の時間になってしまったそうです。
 
微笑みですべてを解決してしまおうとするタイ人の緩さの中にいると、自分もどんどん寛容になっていく感覚は、私自身もタイの人達と仕事している経験がありますので、よく理解できます。
 
この寛容さこそが、タイの大きな魅力のひとつ。ゲイが多いのも、自分にない個性を認め受け入れることができる寛容さがあることがその理由のひとつなのかもしれません。TRANSITの加藤さんの話によるとタイには男用、女用の他に、ゲイ用のトイレがある公立学校があるそうです。
 
他人の個性や、飛び抜けた特徴、一律でないもの、自然そのままのもの、いびつさ、不完全なもの、そんなものを受け入れる寛容さと、自分自身の揺らがない芯を併せ持つような人になりたいと、タイの話を聞きながら思いました。
 

 

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