たき火日和
もしかしたらいけない事なのかもしれないけど学生の頃、友人とよく多摩川の土手でたき火をしていました。通学で利用していた京王線の多摩川近くの駅で降りて、河原まで歩いて行き、その辺に落ちている流木や材木を拾って、火をつけます。たき火をするのは音楽仲間だったので、ギターをかき鳴らしたり、音楽談義から恋の話まで、若気の至りで、いろいろ話をしたりしました。
薪が豊富にない場所でのたき火は、けっこうせわしなくて、燃やすものを探すため河原を歩き回ったり、効率良く燃やすため火をいじったりしているうちに、あっという間に終電の時間になってしまいます。あわてて河原を出て、駅前の明るい場所に来ると、みんな煤や灰で顔も服も真っ黒になっていて、お互い顔を見合わせながら笑ったりしたものです。
そう言えば、はじめてその仲間たちとたき火をしたのは、今日のような陽気の一日。久しぶりに暖かくなったのが嬉しくて、河原に行こうということになりました。
お金はないけど、時間だけはたっぷりあった僕たちは、寝っ転がったり、ギターを弾いたりしながら夕方の河原で時間をつぶしていました。しかし、日が暮れると、だんだん寒くなってきて、誰からともなくたき火をすることになりました。温かい火を見つめていると、それまでの時間を無為に過ごしていたような空しさがなくなり、胸が高鳴り気分が満たされていくのを感じます。次第に話も深まり、お互いの気持ちが通じ合えたような気になりした。
うん。久しぶりに火を囲んで、お酒やコーヒーを飲みながら、仲間たちとゆっくり話をするのもいいかもしれません。そんなことを思い出した春の暖かい1日でした。