Caroline Goodbye
突然加速度を増して冬が近づいてきたかのような寒い1日でしたが、もう今年も残すところあと1.5ヶ月なんですよね。早いです。
寒くなってくると、つい聴きたくなるのがコリン・ブランストーンの「一年間」。元ゾンビーズのボーカリストだった彼が、解散後はじめてリリースしたソロアルバムです。全体を通してストリングスが多用されて、美しく繊細で、何より切ない孤独感を感じる曲がつまっています。
その中のハイライトとなっている曲が、「キャロライン・グッバイ」。この曲は、個人的に切ない曲ランキングのかなり上位の名曲。だんだんと自分とは違う世界に行ってしまい、自分への想いがなくなっている恋人。それに気付かない振りをして、しばらく時を過ごしていたけど、ついに別れを告げる。そんな歌詞を、メランコリックに歌っています。
コリン・ブランストーンがいたゾンビーズは、キーボードを担当しているロッド・アージェントが中心となって1961年に結成されたバンド。1969年発表のアルバム「オデッセイ&オラクル」制作中にバンド内の人間関係が悪化し、その完成と同時に解散してしまいます。しかし、解散後リリースされたシングル「ふたりのシーズン」は大ヒット。このヒットに当て込んでのレコード会社からの再三の要請にもかかわらず再結成を拒んだそうです。さらに、この最後のアルバムは、後年最も高い評価を受け、ローリングストーン誌が選ぶオールタイムベストアルバムの中にもランキングされています。
そんな事実を知った後に、「キャロライン・グッバイ」の歌詞をあらためて見てみると、つい恋人キャロラインの名前を彼のいたバンド、ゾンビーズに置き換えてみてしまいます。
バンドとして、最高のアルバムを作りながら、その人間関係がうまくいかなくなり、解散してしまう。その後、バンドとその曲は自分たちの手を離れたところでどんどん有名になっていく。
そのゾンビーズの最後のアルバム「オデッセイ&オラクル」も大好きなアルバム。このアルバムとコリン・ブランストーンの「一年間」には、何曲か同じ曲が録音されているのですが、バンドでの音はどこか明るさや前向きさを感じるのにソロの演奏は切なさや孤独感が際立ちます。
バンドマジックと言われるメンバー同士の化学反応で奇跡のような音を作り上げた経験をした人が、一人になって音を奏でる。そのとき、バンド時代の青春のような輝きの記憶とそれに対する失望や諦めが、どこか音に悲しさを漂わせるのかもしれません。なので、ゾンビーズのアルバムは頻繁に聴くことができるけど、ソロアルバムは何度も気軽に聴くには切なすぎるのです。
キャロライン・グッバイの日本語の歌詞を探してみましたが、見つからなかったので自分で訳してみました。やっぱり切ない曲。でもだからこそ、バンドの可能性は無限大で、素晴らしいってことにも気付かされるのです。