2011年6月13日

Somewhere in Sendai now


 
個人的な所用で仙台に行ってきました。あの震災から3ヶ月。満員の新幹線を降りて外を出ると、仙台駅前の様子は、震災前の賑わいを取り戻しているかのように見えます。街のスーパーマーケットには物が溢れ、ガソリンも並ばずに買えるようになっています。街の所々に見える古い日本家屋の瓦屋根に張られた緊急処置のための青いビニールシートや崩れた壁の跡が地震の傷跡を感じさせるくらいです。
 
あの津波がなければ、その程度で済んだのかもしれません。でも、海の近くに行くと、まったく違う風景がそこにありました。かつて何度も訪れたその場所は、瓦礫が散乱する荒涼とした荒地に変わっていました。家並は土台を残してすべてなくなり、その上にはバラバラになった柱やブロック塀の欠片、タイヤや鉄パイプなどが散乱しています。さらにどこかの家から流れてきた、トロフィーやぬいぐるみ、本やDVDのパッケージなどが砂にまみれて転がっています。かつてそこに住んでいた人々の財産も思い出の記録も、すべてが流されてしまったのです。
 
ぺしゃんこなってひっくり返っている車やなぎ倒された電柱もまだそのまま。道路だけは撤去作業のために物が片付けられていましたが、他は被害の凄まじさにどこから手を付けていけばいいのか分からないといった状況に見えます。それでも、震災当初から比べると、たいぶ片付けられているそうです。ただ立ちすくみ呆然とするのみです。
 
震災の時の話を聞くと、まさに九死に一生を得たという感じで、ぎりぎりのところでなんとか助かったことが分かります。そして、代々受け継いできた家とそこでの暮らしを失い、今は狭いアパートで不便な生活を余儀なくされています。津波の被害を受けていない場所を歩いているとあまり気がつきませんが、同じような経験をしている人はたくさんいます。
 
まだ自分の頭のなかでもうまく整理ができず、ノートも空白のままですが、これがたった一日の滞在で見てきた今の仙台の一部の風景です。
 

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