Have a Slow Life!
タイ出張より帰ってきました。バンコクで泊まったのは、スローライフがコンセプトのホテル。決して豪華ではないけど、ゆったりと作られた緑があふれる中庭や、手作り感のある部屋のインテリア、ほどよい距離感を持って接するスタッフのフレンドリーさが心地よい、素敵なホテルでした。
バンコクの安宿街、カオサンロードの喧噪さに疲れたけど、普通のホテルでは物足りない、そんな大人のバックパッカーが泊まるような宿。2005年にできたホテルとのことですが、前に大阪で泊まったホステル64<に通じるようなあたらしい潮流を感じさせるホテルでした。そして、チェンマイでは、前にここでも紹介した以前に泊まったホテルにまた泊まりました。
今回のタイ行きで一番感じたのは、心地よいライフスタイルの在り方について。 チェンマイでずっと一緒だったトラベラーズノートのカバーを作っている工場のオーナー夫妻は、小さな工場に隣接した家に暮らし、チェンマイの素材や文化にこだわったものづくりをしています。今回の出張でも、彼らと付き合いがあるチェンマイのいくつかの工場に連れて行ってもらいました。それらは、例えば中国の大きな工場とはぜんぜん違った雰囲気です。
どこも小規模の工場で、風通しが良い吹きさらしの建物のなかで、家族的な雰囲気でにこやかな表情で仕事をしています。工場のなかの隅のテーブルでは、子供が学校の宿題をやっています。そういえば、私が小さい頃には、近所の下町にもそんな雰囲気の印刷工場や材木工場がたくさんあったなあ。工場に入り込んで遊んだりして。
そこでは、職人的な技もきちんと残り、下の世代に受け継いでいく、師弟関係もまだ残っています。大きなキャパシティーはないし、生産スピードはスローだけど、丁寧なものづくりがおこなれています。日本的な感覚とはズレのあるのんびりした仕事のスタイルは、しばしば私たちの悩みの種になったりしますが、チェンマイのスローで心地よい空気感が他にない魅力あるプロダクトを作っているのだとあらためて感じました。
スローであることは、決して怠慢であることではなくて、フットワーク軽く自分の好きなことを追求していくことでもあります。工場のオーナー夫妻は、子供が生まれたのを機に、あたらしく小さな保育所の運営をはじめたり、趣味のプラモデル好きが高じて、そのパーツを作って売ったりしたりしてます。でも、自分のペースにあわせて、決して無理をしている感じはしない。
きっと何年で売上をいくらにするとか、シェア何%を目標にするとか、あまりそういうことには興味がなくて、自分たちのやりたいことと、人から必要とされていることが合致していることが動機となっているのかもしれません。もちろん、それですべて通用するほど甘い社会ではないのだと思いますが、彼らの生活を見ていると、私たちが目指すべき方向のひとつの大きな指針となりそうな気がします。
スローライフ。今まで漠然としたイメージしかなかったこの言葉の意味が今回のタイ行きで、ちょっとだけ分かったような気がします。
Phranakorn Nornlen in Bangkok
Phranakorn Nornlen in Bangkok
Phranakorn Nornlen in Bangkok
Tri Yaan Na Ros in Chiangmai