2012年2月 3日

hanalee


 
いつも音楽がそばにあった。小学生のときに、ラジカセを買ってもらって当時できたばかりの貸レコード屋さんに行っては借りて録音した。旅に出る時は、カセットに好きな曲をたっぷり詰め込んで、小さなラジカセをリュックにいれた。どこで何を聴こうか、なんて考えながら曲を選ぶ時間がたまらなく好きだった。
 
ピート・タウンゼントみたいに弾けるようになりかったけど、ギターはさっぱり上手くならなかったし、トム・ウェイツみたいに歌いたかったけど生まれながらの音痴だったし、レイ・ディヴィスみたいな曲はやっぱり作れなかった。でも、スタジオや小さなライブハウスで、思いっきり歌ったり、ギターを鳴らしたりするのは最高に気持ち良かった。バンドメンバーとともに、曲をつくりあげてグルーブが生まれてくる感覚は、なにものに代え難い素晴らしい体験で、今思うと、あの時にはじめて、仲間と一緒に何かを生み出す喜びを知ったような気がする。
 
大学を卒業して働くようになって、バンドはやめてしまったけど、仕事中ひとりで乗っていた営業車には、いつもご機嫌な音楽が流れていた。今だっていつも音楽とともにある。小学生のときから未だに聴き続けている曲もあるし、同時にいつも新しくてわくわくする音楽を探している。
 
トラベラーズファクトリーが出来て嬉しかったことのひとつは、好きな音楽をそこで流せること。営業時間の8時間分のプレイリストをいくつも作成しているんだけど、曲の並び順、流れる時間帯、新しいものと古いもの、静かなものと明るいものなどのバランスなどを考えて、あまり騒々しくならず、でも、空間を彩り、そこにいる人たちの気分が高揚し、気持ち良くなってほしいと思い曲を選んでいる。
 
ぼくのモノ造りのお手本はロック・ミュージック。ロックみたいに、ポジティブで、挑戦的で、優しく温かくて、切なくて、ロマンチックで、荒っぽくて、繊細で、楽しくて、ドキドキわくわくさせてくれるようなものでありたい。そんな想いで信頼できる仲間たちとモノや空間を作り上げて行く行為は、バンドメンバーとともにグルーブを築き上げていくことに似ているような気がする。
 
そして、ぼくらの作るものは、音楽のように日々の生活に寄り添い、時には気持ちを高揚させ、時には、悲しみを受け止めて心を癒し、そして夢や希望を与えてくれるような存在であってほしい。
 
先日、トラベラーズファクトリーであたらしいすてきな音楽に出会った。この山田稔明氏の奏でる音楽もまた、ぼくらにあたらしい夢を教えてくれそうな気がする。
 

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