未来は僕らの手の中
休日、BSでバック・トゥ・ザ・フューチャーをやっていて、ずっと前に何度か見ていたのに、ぼんやり眺めていたら、つい引き込まれてしまい、その後に引き続き放映された2作目の最後まで見てしまいました。
上映時の1985年の風景、そして、その30年前と30年後の世界を細部にわたって再現した映像を今見てみると、初めてこの映画を見た80年代とはまた違った発見があって面白いのです。ここで描かれている未来、2015年では、車は空を飛び、犬の散歩はロボットがして、ジャケットは自動でサイズがフィットし、池に落ちても内側から風が吹いて一瞬で乾いてしまう。それらがあと2年で実現するかどうかは疑わしいですが、指紋照合による支払いシステムとか音声認証によるテレビや家電のスイッチは今でもありそうだし、グーグルグラスなんて、映画で出てきたサングラスのような携帯端末よりさらに進化しているような気がします。
映画で描かれている2015年と、現在を比べてみて思ったのが、1985年の人達が想像する以上に、それ以前のものもきちんと残っているということ。1985年からやってきた主人公が慌てて着替えなくても、ジーパンやダウンジャケットは今でもそれほど恥ずかしくはないし、80年代をテーマにしたレトロカフェでなくても、マイケル・ジャクソンは聴くことができます。ぼくのiPodには、1930年代に録音されたロバート・ジョンソンのブルースから、今月にリリースされたばかりのプライマル・スクリームの新譜まで入っていてどちらも好きなときに聴くことができます。イギリスで最近デビューしたばかりの、メンバーが平均年齢16歳のバンド、ザ・ストライプスの、1960年代のヤードバーズばりのR&Bサウンドに新しさを感じ、同時にクラフトワークが1970年代にリリースしたエレクトロニック・ミュージックに未来を感じるのです。
2013年に生きるぼくらは、スマートフォンやPCを使いながらも、紙やペンも使っています。すべての道具が便利さを追求しエレクトロニックに進化していく訳ではなく、アナログ的な感性に訴えかけるものも残っています。iPhoneやiPadが最新テクノロジーによる新しい道具として身近なものになったのと同時に、トラベラーズノートのようなアナログ的な道具が、今この時代に生きるぼくらに必要なものであるということを信じています。
科学の進化と感性の深化の融合する未来。そんなことを考えながら、今から30年後の未来を想像してみると、わくわくしてきます。