Digital vs. Analog?
昨今、ITの進化にあわせて、ネットを利用した新しい便利なサービスがどんどん日常生活に入り込んでいます。iPhoneを使うようになってからは、どこかに行こうとすると、電車の路線や、駅からの道筋もその場で簡単に調べることができるようになったし、出先でもメールもチェックできるし、電車でフェイスブックやツイッターを見たりもします。
ITの進化はまだまだこれからということで、第2のフェイスブックやアマゾンを目指し、さまざまな企業がより革新的で便利なサービスを開発し、普及させるべく日々邁進しています。間違いなくITはこれからも進化し、ぼくらの生活にさらに入り込んで、便利で楽しい機能をもたらしてくれるはずです。
将来は、すべてのものがインターネットに繋がるようになっていくとのことで、ぼくらが扱うノートやペンなどの文房具もその波に無関係ではないのかもしれません。 スマートフォンなどにノート、スケジュール管理の機能は当たり前のように付加され、さらにその使い勝手も日々進化しています。そんななか、全体的なノートの使用量は確実に減っているはずです。
ただ、こうやってデジタルが普及すればする程アナログの紙のノートに、自分の手で書いたり、描いたり、貼ったりする行為の大切さを痛感するのです。iPadの手書きメモのアプリを使うと、筆記具を鉛筆やボールペンから選ぶことができて、その筆跡も忠実に再現してくれます。きっとさらに進化して、万年筆のかき味とか和紙のにじみ具合ももっとリアルになっていくのだと思います。だけど、それはあくまでも本物の模倣であって、本物を知っているから楽しめること。
子供が画用紙にクレヨンで描くという経験を全くしないまま、iPadのアプリで偽物のクレヨンで描くのはやっぱり違うなあと思うし、そう思えば思うほど紙のノートを作り続けることの意義を感じるのです。iPhoneで調べればすぐ分かる目的地までの道筋をわざわざノートに書くのは、そのことによってその道程に想いを馳せ、想像し、あたらしい発見や、偶然の出会いへ導いてくれるからです。例えその情報ソースがインターネットであってもノートに描くことによって、それは描いた人にしか得ることができないものになるはずです。
トラベラーズノートは、旅をテーマにしたノート。旅は、デジタルやバーチャルに置き換えることができない最もアナログな行為でもあります。旅をして誰かに会ったり、風景に身を浸したり、心を動かされるような体験をする。その記録や想いを紙のノートに、書いたり、描いたり、貼ったり、塗ったりして綴っていく。さらに旅を重ねるごとに革に傷がつき、紙にシワが付き黄ばんでいくことで時の経過を感じる。そんなロマンチックで魅惑的なアナログの文化の素晴らしさを伝え、次世代に受け継いでいく。
デジタルがこれからますます進化すればするほど、これがぼくらの最も大切な使命だと考えています。進化するITが、その使命にとって便利なツールになると捉えれば、デジタルとアナログは、敵対するのではなく、共存していくのだと思います。