2015年6月 8日

Rainbow Drive-Inには行ったことがないけど。

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「そういえば寺山(修司)がはじめてニューヨークに行くことになったとき、植草甚一に地図を描いてもらった。あれはおかしかった。というのはその頃、まだ植草はニューヨークに行ったことがないのに、本や映画で覚えたニューヨークのさまざまな街角やレストラン、カフェ、ジャズのスポット、映画館や公園に、やたらくわしくて、寺山にそれを教えたのだった」
−「セントラル・アパート物語」浅井慎平著より-

現在、世田谷文学館で開催中の「植草甚一展」に行くと、外国の映画や小説、ジャズに対する批評が細かい文字でびっしり書かれたノートや、雑誌やチラシの切り抜きが貼られたスクラップ帳が膨大に展示されていました。そのノートは、執念すら感じるほど緻密に書き留められた空想の旅の記録のようで、きっと書くことで頭の中に、小説や映画、雑誌に登場した場所の地形や道、その空気感までも整理されていくのかもしれません。あの膨大なノートを見れば、未踏の場所の地図をさらりと描いてしまうのも納得できます。
 
ちなみに氏はその後、66歳の時はじめての実際にニューヨークに行き、数ヶ月滞在し、本屋通いをしたり、アンティークを買ったりして、憧れの街を闊歩しました。その時の様子は「植草甚一コラージュ日記2」に、興奮と感動とともに描かれています。
 
話がかわりますが、トラベラーズファクトリーのウェブサイトにて、ハワイアンコレクションの第二弾としてレインボードライブインとのコラボレーションアイテム情報をアップしています。
 
実はぼくも、デザインをした橋本もハワイに行ったことがありません。そんななか、第二弾の企画としていくつかの候補の中からレインボードライブインを選んだのは、その建物の佇まいやメニューにぼくらが思うハワイのローカルな魅力を感じたから。
 
過去の遺産や壮大な自然もいいけど、ぼくらが旅先で訪れていいなあと思うのは、地元の人の日常生活に密着し愛されているような場所が多い。さらにその土地の文化的背景や歴史を感じることができて、旅人には媚びることもないけど、地元の人と同じように温かく受け入れてくれるような場所であればなお良い。
 
レインボードライブインのことを調べるうちに、そんな魅力を感じたのです。「心のこもったボリュームたっぷりの食事をリーズナブルに」という彼らのモットーは、まさにそれを象徴しているし、資料や写真を眺めながら、穏やかな南国の空気が流れる少し色あせた虹色の看板が掲げられた店内でたっぷり盛りつけられたミックスプレートを食べるのを想像すると思わずよだれが溢れてきました。だから僕らは誰かがハワイに行くって聞いたら行ったこともないくせに、「レインボードライブインでミックスプレートを食べるといいよ、だけど、大盛りだからお腹がすかせて行くようにね」なんて、植草氏のように言ってしまうのです。
  
という訳で、レインボードライブインとのコラボレーションアイテムは6月10日から、6月16日まで伊勢丹新宿店でのイベントで登場します。ぜひ、遊びに行ってみてください。
 
世田谷文学館で開催中の企画展「植草甚一スクラップブック」は7月5日までとなっています。

そして、週末の6月13日(土)は、トラベラーズファクトリーにチャルカの久保さんがやってきてくれえて、ビーズを使ってのトラベラーズノートのカスタマイズイベントを開催します。こちらもぜひ!
 
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