2016年2月29日

レコードとシャツとバッグ

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ダウンロードや音楽配信が進んでいくにつれてCDの売り上げが下がっていくなかで、アナログレコードの売り上げが伸びているらしい。加えて、レコードプレイヤーも新しいものが作られて、ヒット商品もうまれているそうだ。こんな状況は、CD全盛時代には誰にも想像すらできなかったこと。iPodやスマートフォンが出てきて、パソコンを経由して音楽を取り込むことが浸透すると、CDのようなパッケージが必要なくなり、そうなると逆に、モノとしてより価値を感じることができるレコードがありがたられる。最近では、レコードがダウンロードクーポン付きでリリースされていたりする。
 
トラベラーズファクトリーで今日29日まで開催のAIR ROOMさんのシャツとKO'DA STYLEさんのバッグのイベントでは、音楽がテーマということで、みんなでレコードを持ち寄って、BGMにしている。
 
大きなサイズのジャケットは、壁に並べても素敵だし、ものによっては、窓が付いていたり、ポスターが折り込まれていたりして、それぞれ趣向をこらしているジャケットを眺めるのも楽しい。なにより丁寧に作られていて作り手の温かさを感じるシャツとバッグが置かれた空間にとてもよくなじむ。片面が終わるたびに、ひっくり返するのは面倒だけど、そんな手間もまた、音楽を聴くことに向かう姿勢を正してくれているようで、レコードならではの良さだと思う。
 
でも、だからレコードが素晴らしくて、デジタルが悪いなんていう気はない。ぼくだってiPhoneで音楽を聴くし、CDを買ってもすぐにパソコンに入れて、後はしまったままだったりするし、iTuneで音楽を買うこともある。iPodが発売された時、自分の音楽コレクションをすべて持ち歩くことができるということにはワクワクさせられたし、CDが発売された時はランダムやスキップが簡単にできることで、新しい音楽の聴き方を体験したような気分になった。ただ、ベルベットアンダーグラウンドのバナナや、キングクリムゾンの顔のジャケットが、音楽のイメージを象徴してくれるように、ジャケットは、音楽の一部だからそれは、なくなってほしくないな。
 
科学が進歩することで、いろいろなものが便利で効率的になっていくけど、そうでない古いものがすべてなくなってしまうかと言うと、決してそうではなくて、面倒さや、触感、質感、雰囲気など数値化できない価値を大切にする人もいる。たぶん、便利さを追求したものと、面倒だけど愛おしいものの両方があっていいのだと思う。どちらかと言うと時代遅れの、紙のノートを作っている身からすると、レコードが再び脚光をあびているこの状況は、ちょっとした希望を感じさせてくれる。
 
最近はカセットテープもリバイバルしているようで、そのうち、何年か経ってCDが廃れてしまいそうになると、この虹色に光る円盤のような質感がいいよね、なんて感じで、再び脚光を浴びたりしてね。

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