2016年10月31日

北京の路地裏にて

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北京で泊まったホテルは、旧市街の狭い路地、胡同(フートン)と呼ばれるエリアにあった。大通りから路地に入るとそれまでの騒々しさは影を潜めて、空気が変わったように静かになった。軒先では、男たちが集まり、将棋のようなゲームをやっている2人を静かに囲んでいる。その先では、小さな子供が縄跳びをやっているのを、おばあちゃんが笑顔で眺めている。
 
古い建物の門の中を覗いてみると、その奥は中庭のようになっていて、庭を囲むように住宅が建っている。窓からは、洗濯物が干してあるのが見えた。そんな風景は、映画や小説などで勝手に僕のなかで作られた中国のイメージそのままで、なんだか温かく懐かしい気分になった。
 
朝ごはんは、胡同を歩いて見つけた北京特色煎餅と看板を掲げた店でクレープで揚げパン包んだような食べ物を買う。看板の通り北京名物のようでビニール袋に入れてもらった歩きながら食べるのが美味しい。
 
清の時代まで科拳の試験場で、さらに最高学府でもあった国子監の前の胡同には、古い建物をリノベーションしてできたセレクトショップがいくつかある。そのひとつにトラベラーズノートが置かれているのを見つけて嬉しくなった。さらに歩くと、白で統一された洗練された空間に、雑貨や服など、すべて白の商品のみを並べているお店を見つけた。好白商店と呼ばれるこの店は、映像作家のご主人と建築デザイナーの奥さまのご夫婦で営まれていて、お二人とも日本が大好きとのことで日本の商品も多く扱っている。
 
話をしていると、彼らの住まいがこの近くで、その家は古い胡同の建物を自らデザインしてリノベーションして住んでいると教えてくれた。僕らは失礼なのを顧みずに、見てみたいと言うと快諾してくれた。迷路のような細い路地をさらに奥に進んでいき、その突き当たりにある扉を開けると、歴史を感じる古い建物を活かしながら、広いデッキがある庭や開放的な窓が面した窓がモダンな印象を与える素敵な家が見えた。まだ小さいお子さんに手を引っ張られながら中にお邪魔させてもらった。平屋の高い天井には梁がむき出しになっていて、白い壁との美しいコントラストが印象的。無垢の木を使った家具に日本好きとのことで所々に畳が使われている。まさにこんな家に住んでみたいと思わせてくれる空間だった。
 
一通り家を見せていただいたら、友人がやっているというスペイン料理屋に連れて行ってくれた。北京で最も美味しいスペイン料理なんだと彼らが言う通りパンもタパスもパエリアもすべて最高に美味しくて、僕らは上海から北京へと旅した最後の食事がスペイン料理というのも、その次を予感させてくれるようで、なんだかいいなと思った。彼らとは、トラベラーズファクトリーでの再会を約束して別れた。そんなわけで、僕ははじめての北京がすっかり好きになって、今度はもう少しゆっくり胡同を迷いながら歩いてみたいと思った。
 
あ、そういえば先日、高田純次さんのじゅん散歩でトラベラーズファクトリーを取り上げていただきました。あれからバードコールがよく売れています。

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