魅惑のオリーブ
どうでもいい話だけど、オリーブの塩漬けが好き。イタリア料理やスペイン料理などで付け合わせでよく出てくるあの緑や黒の小さな果実。見かけるようになったのは、大人になってからで、子供の頃はその存在すら知らなかったし、きっと最初に見かけた時は、なんだこいつは?と思いながら無理して食べて、結局なにがおいしいのかよく分からなかったような気がする。
だけどスペインを旅した時に、なにかにつけてこれが出てきて、なんとなく食べているうちに、すっかりその味が癖になって、好きになっていった。ピーマンとかミョウガのように、子供の頃には嫌いだった食べ物のおいしさにある日気付いたときの大人になったような感覚。うるさいだけだったロックのビートの気持ち良さにはじめて気づいたときや、ぜんぜん聞き取れなかった英語の会話の意味がぼんやり分かったときみたいに、自分の世界が広がった気分になった。
それからは日本に帰ってからも、たまにディーン&デルーカとかで、詰め合わせのオリーブを見つけると買って帰り、パクパクと何個も食べるようになった。オリーブの塩漬けは、きっと日本で言えば、たくあんとか梅干しみたいな存在で、海外でそれを食べると、きっと日本のことを思い出してしまうように、オリーブの実を食べることで、スペインの照りつける日差しやバルの匂いを思い出して、ちょっとした旅気分を味わったりもしている。
なんとなくオリーブについて調べてみると、古代ギリシャの繁栄に、当時貴重だったオリーブの栽培が大きな影響を及ぼしていて、そのことからギリシャ神話や聖書には、富や勝利、平和の象徴としてオリーブが登場しているそうだ。黄金色をしたオリーブオイルは、いかにもそんな例えにされそうな色だし、ヨーロッパの硬めのパンをオリーブオイルに浸して食べるとおいしいもんね。3月15日にオリーブの日のようで、個人的なオリーブブームはしばらく続きそうなのです。