2017年2月27日

No Border

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ちょっと抽象的な言い方になってしまうんだけど、トラベラーズノートを手にしてから、僕らのまわりにあったボーダーのようなものが、なくなってきたような気がする。 例えば、そのひとつは業界の枠組みのようなもの。もともと僕らの作る商品は、文房具業界の中でメーカーという立場で作られ販売されてきたけれど、最近、その枠組みはずいぶんぼんやりとしてきた。

トラベラーズノートを一緒に作っている仲間や、トラベラーズファクトリーでイベントをしたり、販売させてもらっている仲間には、全く違う業界で生きている人たちがたくさんいる。もっと細かいことを言えば、以前は商品の企画やデザイン、生産管理など、僕らの仕事はものづくりに関わることだけだった。だけどトラベラーズノートを作った時、そのウェブサイトを作ろうと思ったことからはじまり、文章を書いたり写真を撮ったり、さらにイベントで空間を作り、仕入れや接客もして、仕事の枠組みがどんどん広がっていき、店舗運営の経験もない中で、手探りでトラベラーズファクトリーを作った。また、このブログもそうだけど、プライベートと仕事のボーダーもずいぶん曖昧になっている。
  
本来の意味である国境も簡単に飛び越えることができるようになった。世界中でたくさんのトラベラーズノートユーザーがウェブサイトやSNSで日々発信する情報をチェックしてくれているし、僕らもまた、彼らがアップする写真をたくさん見ることができる。実際に会うために海外でイベントも行っている。
 
それは僕らの仕事に限ったことでなく、メーカーが直営店を持ったり、小売店がオリジナル商品を作ったりすることはもう当たり前のことだし、業界や国境を越えて、モノを販売することだって、規模の大小に関わらず当然のように行われている。作ったモノや使ってくれる人たちに真摯に向かい合えばそうなるのは必然だし、世の中の潮流なんだろうと思う。
 
インターネットの出現によって情報を得たり、発信することに、既得権や大きな投資が必要ではなくなってきたことや、流通のグローバル化が進んできたことなど、理由は様々だと思うけど、世の中のボーダーはどんどん曖昧になっている。きっと高い壁を作ってもその流れは止められない。
 
僕が大学生になって、バックパッカーとして海外を歩くようになって、しみじみと思ったのは、やっぱり自分は日本人だなあということだった。日本の自然や文化の良さについてあらためて気付かされたし、いい意味でも悪い意味でも自分が日本人の気質みたいなものを持っていることを身にしみて感じた。それと同じように、僕らがトラベラーズノートを手に、ボーダーを越えていこうとする時に思うのは、僕らの中心にあるのは、トラベラーズノートを作るノート屋であるということだ。そこに僕らの存在価値があり、その世界を広げていくことができる無限の可能性を感じる。
 
例えば、3月に発売するブラス万年筆は、世の中にある多種多様の万年筆のなかで、決して最高のものであるなんて思ってはいない。だけど、トラベラーズノートと一緒に使う万年筆としては最高だと思っている。それだったら、トラベラーズノートを作り続けている経験を持つ僕らだからこそ、万年筆作りに長い経験を持つパートナーと出会うことで実現可能なことだと思っている。それと同じように、トラベラーズファクトリーは、トラベラーズノートのための最高の空間だと信じている。
 
4月27日にオープンするトラベラーズファクトリーステーションの準備も佳境に入りつつあるけど、その時にまず考えるには、東京駅という場所に、トラベラーズノートの空間ができた時にどんな世界がそこにできたら楽しいだろうか、ということだ。そして、これらの新しい商品や場所が、また僕らにボーダーを越えるきっかけを与えてくれている。ボーダーを越えるような旅には危険がつきもので、不安や緊張もあるんだけど、それ以上に僕らはワクワクしながら、それを楽しんでいる。
 
先日、情報をアップしたことで、できたばかりのオリーブエディションを最近使い始めたんだけど、それだけで気分が少し変わり、あたらしい冒険の旅に向かっていく勇気がわいてくるような気がする。ぜひ、皆さんにもそんな気分を味わっていただけたら嬉しいです。
 
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