2017年4月10日

プロダクトを作ったり、本を選んだり、看板を描いたり...

20170410d.jpg
 
例えば、急な出張とか法事なんかで、ひとりで予定外の遠出をすることになって、慌てて家を出て、駅に向かう。そんな時に、ふと手持ちの本がないことに気付く。長時間ひとりで過ごすのに本がないなんて、それだけで、なんだか落ち着かなくなって、キオスクの小さな本コーナーを覗くんだけど、そんな時はたいてい読みたい本が見つからない。電車の時間も迫っているから、気持ちも焦ってえいっと読み慣れない本を手に取って、あわてて会計を済ませる。そんなことってありませんか?
 
思いがけずに面白い本に出会うこともあるけど、そもそも選んだ動機も適当だから、なかなか本気で本の世界に入り込めず、不本意な本との時間を過ごすことが多いような気がする。そんな経験がある皆さんのすべての欲求にお応えできる自信なんて毛頭ないけど、東京駅にオープンするトラベラーズファクトリーステーションに、小さな本コーナーをご用意する予定です。ここでは、より気軽に買いやすいように古書を中心に取り揃えてみたんだけど、ご存知のように廃刊、絶版など入れ替わりの激しい出版の世界では、意外と古書の方が、トラベラーズらしいラインアップが揃えられたような気もする。
 
僕はインターネットがまだない時代に思春期を過ごしてきたから、新しい本との出会いは本屋の棚をくまなく目で追って見つけることが多かったし、お気に入りの音楽もレコード屋さんで偶然かかった曲から知ることが多かった。装丁やジャケットが光を放っていて、手に取るべきだと訴えかけるような本やアルバムに出会えると、それだけで嬉しくなったし、そうやって手にいれた作品には、ハズレが少なかった。そんな偶然の出会いを見つけることができるのが、お店に足を運ぶことの楽しさであり、トラベラーズファクトリーもそんな場所でありたいと思う。例えば、これから旅に出ようとする時に、ノートとともに旅のお供になるような本や旅の道具に出会えてもらえたら嬉しいな。
 
そんなわけで、エアポートの時に続き、今回もデザイナーのハシモトと手描きの看板を作成してみた。ハシモトがデザインした出力紙を鉄板にトレースし、ペンキで塗る。メインのトラベラーズトレインの看板はハシモトが作成して、僕はトラベラーズブックスの看板を描いた。
 
出来上がりを眺めていると、刷毛の跡が残り、ちょっといびつな文字がなんとも言えない温かみを感じさせてくれて嬉しくなった。
思いがけず時間がかかって苦労したけど、こうやって自分たちで手をかけて作り上げていく行為こそ、僕らが仕事をしていく上で最も大切にしていきたいことだと、あらためて気付かされたような気がする。
 
トラベラーズファクトリー ステーションのために作ったプロダクトの情報もアップされて、いよいよオープンまであと少しに迫ってきたのを実感する。あと2週間と少し。きっと素敵なお店ができるはずのなので、皆様ぜひ楽しみにしてください。
 
20170410c.jpg
 
20170410b.jpg
 
20170410a.jpg

最近の記事