東京駅からロバート・フランクへ
トラベラーズファクトリー ステーションの内装工事も佳境に入り、週末は最後の仕上げで、先週作った看板やディスプレイボード、昨年チェンマイの骨董市で手に入れたポンプやトランクなどを設置。少しずつトラベラーズらしい空間ができあがってくるのが実感できる。
内装工事は、中目黒やエアポートでもお世話になっている大将に今回もお願いしている。トラベラーズノートユーザーだから、お店作りを一緒に楽しんでやってくれるのがなにより嬉しい。ハシモトがお店にコンテナを持ち込みたいというアイデアを出した時だって、大将たちは面白がりながら、その方法を模索し、実現してくれた。あと少しで皆様にもご覧いただけると思うので楽しみにしていただきたいのですが、中目黒やエアポートとも違うけど、トラベラーズらしいかっこいい空間ができそうで、僕らもわくわくしながら最後の仕上げを楽しんでいる。
そして、金曜日の夜は、夜に東京駅を抜けて、そのまま中目黒へ移動して、『Don't Blink ロバート・フランクの写した時代』展の設営へ。オープン以来、トラベラーズファクトリー2階に置いてある写真集「The Americans」の作者、ロバート・フランクのドキュメンタリー映画が間も無く公開されるということで、ご縁があってその展示を行うことになった。
「The Americans」に出会ったのは2009年。ジャック・ケルアックの序文が目に止まり、手に取ってパラパラとページをめくってみたら、50年代のアメリカの日常を切り取ったコントラストの効いたモノクロの写真に惹きつけられて、それまで写真集なんて買ったことがなかったのに衝動買いしてしまった。
今まで見慣れていた華やかで栄華に満ちたアメリカではなく、その影の部分に光を当てた写真は、不思議に悲壮感ではなく、美しさを感じさせてくれ、それまで気がつかなかったアメリカの市井の人たちのの日常生活の哀愁漂う美しさや、寂れたかっこよさみたいなものを教えてもらったような気がした。今思うと、それ以降、トラベラーズノートの世界を作っていくことに大きな影響を受けたような気がする。そんなロバート・フランクの映画の試写会に呼んでいただき、さらに何か一緒にできませんかとお声がけをしてもらった時には、ステーションのオープン前でバタバタしている時期だったけど、ぜひ!と返事をさせてもらった。
展示では、映画のシーンを切り取った写真とあわせて、ニュースペーパーに印刷された写真や、ロバート・フランクがジャケットを手がけたローリング・ストーンズの名盤「メインストリートのならず者」のLPなどを展示。さらに、Born To Be Blueの時に続き、今回もLETTER 8さんが映画のタイトルを文字看板でディスプレイしてくれている。
この映画、サウンドトラックも素晴らしくて、ストーンズをはじめ、トム・ウェイツに、ジョニー・サンダース、パティ・スミス、キルズ、ヨ・ラ・テンゴ、ホワイト・ストライプなどなど、そうそうたるミュージシャンが楽曲を提供している。これもロバート・フランクの影響力があってのことだと思うけど、彼の写真同様、ざらざらした触感の荒削りでかっこいい音楽を聴くためだけでも映画を観に行く価値があると思う。トラベラーズファクトリーでの展示とあわせてぜひ。