2018年3月 5日

新しい青の時代

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新しいプロダクトの情報をアップする時は、いつもちょっとした緊張感に包まれる。それが皆さんにどんな風に受け取られるのか、不安と期待が入り混じった複雑な思いが頭を巡る。

僕らは先々まで綿密に計算された計画に基づいて、ものづくりをするのは得意じゃない。目指している場所は、抽象的でぼんやりしたイメージでしかないし、そこまでの道筋も、悩んだり迷ったりしながら、その瞬間の肌感覚や直感でやるべきことを決めている。その時に指針となるのは、それがトラベラーズらしくて、トラベラーズノートを使ってくれている方にワクワクしてもらえるのか、さらに僕ら自身もワクワクできるのか、ということで、そんな方程式では割り出すことができない、感覚的で感情的な指針は、方向の定まらないコンパスの針のようにゆらゆら動いている。
 
2015年にブルーエディションを発売した時は、また何年かして定番になるなんてことは想像もしていなかったし、今回ブルーをリリースする経緯はここにも書いたけど、ブルーがたくさんの方々に望まれ、不当にその気持ちを逆なでされてしまう状況が生まれる中で、なんとかしたいという想いで、僕たちはブルーを定番にするという判断をした。だけど、その決断に絶対的な自信なんてないし、今だってそのことで誰かが失望していることへの不安が消えていない。
 
そんな中で、リリースの反響として聞こえてくるのは僕らにとって嬉しい言葉が多く、さらに、こちらの複雑な想いに理解を示してくれる声もあり、あらためてトラベラーズノートは、素晴らしい使い手の方々に支えられていることを知ることができました。そして、そんな皆さんの想いこそが、トラベラーズノートが醸し出す優しさや温かさを作っているのだと、実感しました。ありがとうございます。本当に嬉しかったです。僕らはたくさんの勇気をもらいました。
 
赤は情熱とか、白は純真など、それぞれ色には、その色が連想させるイメージや意味がある。トラベラーズノートの革の色も使う人によって、それぞれのイメージや意味があると思うし、それを一つのイメージに固定する訳ではないけど、僕にとって青がもたらすイメージは、青春とか青二才などに使われる青くささ、つまり未熟さであり、それゆえの純粋さだ。そこに、ブルースの語源となった英語のブルーが意味する憂いや哀しみ、孤独感が加わる。そして、宇宙や海、空が感じさせてくれる、限りない優しさと美しさ、無限に広がる自由。なんだかパンクロックみたいじゃないか。
 
ブルースを胸に抱き、ギターをかき鳴らし、絶望の先に灯された希望を歌うパンクロッカー。そんな気分でブルーのトラベラーズノートを使ってみたくなった。しかも、再発売のブルーだから、かつてアルバムを一枚だけリリースした後に華々しく解散したのに、長いブランクを経て再びデビューする古参のパンクロッカーだ。
なんだか強引なこじつけみたいだけど、山田稔明さんのアルバムのタイトルにならって、トラベラーズにとっての「新しい青の時代」がこれから始まる。そんな気分になった。
 
トラベラーズノートは、あたらしいブルーの発売で、12周年を迎えます。このちょっと変わったノートが12年も続き、世界中に広がろうとしているのは、まさに、使ってくれている皆様のおかげです。
 
さまざまな事情やしがらみをもっと大胆に切り崩し、飛び越えていき、今まで以上にトラベラーズらしく、トラベラーズノートを使ってくれている方にもっとワクワクしてもらい、さらに僕ら自身がワクワクできるような、ノートにしていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 そして新しいブルーのトラベラーズノートをよろしくお願いします。
 
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