2018年6月11日

生活のたのしみ展に行ってきた

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先週のこと。「ほぼ日」さんが開催している、生活のたのしみ展に行ってきた。
 
実はほぼ日さんとは、以前から何度かお話しをする機会を持たせていただいていて、昨年の生活のたのしみ展では、ほぼ日さんのCINE&TRAVELのコーナーでコラボレーションしたスパイラルリングノートを販売していただいたりもしている。その時は、残念ながらちょうどACE HOTELのイベントと日程が重なり行くことができなかったので、今回は楽しみにしていた。
 
この日は、梅雨がはじまったばかりだというのに見事な快晴で、気持ちの良い空の下にたくさんの素敵なお店が並んでいて、なんだか海外の蚤の市に来たようなワクワクした気持ちになった。それぞれのお店が魅力的なのはもちろん、お店の人たちも笑顔で楽しそうに説明をしてくれるしふと気がつくと、思わず見入ってしまうようなカードマジックがはじまったり、糸井さんも笑顔でお客さんと写真に撮られていたりして、多幸感に満ちた空間だった。トラベラーズファクトリーでもイベントを開催してくれている、G.F.G.S.の小柳さんやNAOTの宮川さんも参加していて、久しぶりにお話しができたのも楽しかった。
 
何よりも素晴らしいのは、ほぼ日スタッフの方々で僕らとほぼ日をつないでくれたHさんは、日焼けした額に汗をかきながら、それでも笑顔で会場を走り回っていたし、前回の生活のたのしみ展でコラボを提案してくれたもう一人のHさんも、「準備は大変でしたよ、でもやっぱりお客さんに喜んでもらいたいから、つい限界までがんばっちゃうんですよねー」と、笑顔で言っていた。スタッフ全員が、おもてなしの心と、できる限り楽しいイベントにしたいという気持ちに満ちているから、みんな忙しそうに駆け回っているんだけど、でもそれがとても楽しそう。
 
僕は、メルヘンのフルーツサンドにコーヒーをいただき、お目当だった出版されたばかりの本、「古賀史健がまとめた糸井重里のこと」を買った。糸井さんといえば、1969年生まれの僕らの世代にとっては、コピーライターという職業とともに知った、時代の寵児のような存在だった。中学生か高校生だった僕にとってコピー1行100万円とか1000万円とか言われたその仕事にまずは驚いたし(この本では実際にはそこまではなかったと言っている)、さらに、NHKのYOUに、徳川埋蔵金の発掘、釣りなどでしばしばテレビにも登場し、まるで遊ぶように仕事をしているその姿を羨望の眼差しで眺めていた。
 
そんな糸井さんの名前を再び意識するようになったのは、ほぼ日手帳の出現だった。手帳やノートを作る会社で働いた自分にとって、やっぱりその出現は衝撃的だったし、素直にすごいなあと思ったけど、まったく畑違いのところが作った手帳が大きなヒットを生み出してしまうことに、それなりに歯がゆい思いをした。その時に、なんとなく名前だけは知っていた、ほぼ日のサイトをあらためて読んでみると、とても面白くてそれからは定期的にチェックするようになった。
 
ちょうどその頃、ポータルサイトとなるのを目指して、様々な企業が新しい情報サイトを立ち上げていた頃だったと思うんだけど、ほぼ日には、それらのサイトとは一線を画す、人の温もりや、誠実さを感じるようなところがあって、それが魅力だった。もちろん今でも、ほぼ日のサイトは定期的にチェックしていて、最近では、燃え殻さんの小説をここで知って読んで感動したし、ついこの前まで連載していた孫泰蔵さんとの対談もとても共感できることが多くて面白かった。
 
この本は、そんな糸井さんの少年期から今に至るまでをライターの古賀史健さんが、糸井さんの話し言葉のような文体で綴っている。そういえば、ほぼ日で読むことができる文章はこの話し言葉の文体が多くて、それが読みやすさと温かさを感じさせてくれて、お昼休みの会社のパソコンでついつい読み入ってしまう。
 
この本もまた帰りの電車から家に着いてお風呂に入るまでの間に一気に読んでしまった。少年時代からの歴史を語りながら、その価値観を作るに至った様々な経験を率直に語ってくれているのが面白い。そこには、僭越ながらも同じものづくりを生業とする僕らにとって、金言のようなメッセージがたくさん詰まっている。
 
「考えたふり」がいちばんよくないですよ。
ぼくがコピーに求めていたのは「うまい」じゃなくって、「うれしい」なんです。
手帳もハラマキも、根っこにある動機は「おれがほしい」ですから。
運命をともにする同士の信頼感、「沈んだらおしまいなんだ」という緊張感、だからこそ助け合おうとする心のあり方......
 
ちょっとだけ引用し羅列させてもらったけど、これらはすべて僕らもとても共感できるし、仕事をする上で忘れてはいけないこととして、心に留めておきたい言葉でもある。
 
この本では、各章のタイトルが、ビートルズの曲名になっていて、それがそのままその頃の糸井さんの気分を示唆している。ビートルズ世代の糸井さんだからこそのそんなセンスもまたかっこいいなあと思う。ほぼ日手帳とは用途も近くて、ともすればライバルみたいな存在として見られることもあるかもしれないけど、糸井さんが見ると、トラベラーズノートやトラベラーズファクトリーがどんな風に見えるのか、もしいつかお会いできたら聞いてみたいな。
 
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