2019年6月10日

土橋さんのオフィスへ行く

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先日、ステーショナリー ディレクターとして活躍されている土橋正さんの事務所へお邪魔した。
 
土橋さんとはじめてお会いしたのは、もう14年前の2005年、ISOTと呼ばれる文具の国際展示会の会場だった。この年、展示会に出展していたうちの会社のブース内では、トラベラーズノートが生まれるきっかけとなったノートコンペが行われた。新しい商品を生むきっかけになればと、市場ニーズや競合商品、価格帯などマーケットの事情に捉われずに、社内からアイデアを募り、40種類のノートを会場に展示。その人気投票とサンプルの販売を行ったのだ。
 
トラベラーズノートの原型となったノートがそこに出展され、人気を得ることでその翌年に実際に発売されることになった。ちなみに、原型といっても仕様は、今のトラベラーズノートとほとんど一緒で、しおりの紐が付いていなくて、ゴムの結び目が後ろではなくて前についていたことくらいしか違いはなかった。その時はトラベルジャーナルノートという名前で出展していた。
 
その会場に取材のためにブースに足を運んでくれた土橋さんは、トラベルジャーナルノートに投票し、サンプルも購入してくれた。ちょうど会場にいた私が挨拶すると、「これ、いいですよ。絶対に発売すべきですよ」と言ってくれた。土橋さんのその言葉にはとても勇気付けられ、発売に向けて仕事を進めていく自信を与えてくれた。
 
その後も、発売までに何度か話をさせていただく機会を作ってくれて、アドバイスもしてくれたし、発売にあたり、ご厚意でメディアへリリースするための紹介文を書いていただいたりもした。ちなみにその文章は、プロフェッショナルユーザーの第1号として、現在も公式サイトに掲載している。そういえば、僕が万年筆を使うようになったのも土橋さんのコレクションを見せていただいたのがきっかけだった。
 
そんなわけで、土橋さんはトラベラーズノートを発売前から見出してくれて、その後もさまざまな形でアシストしてくれている、私たちにとってはとてもご恩のある方なのです。
 
先日、そんな土橋さんの事務所にはじめてお邪魔することができた。昨年伊東屋さんもオープンした横浜元町から山下公園に向かって歩いて数分。1980年代に建てられたビルの一角に事務所はあった。

白い壁に、テーブルや棚は白に統一された部屋。仕事机には、マックのディプレイとキーボード、そして自らプロデュースしたダイアリーとノートが一冊ずつ整然と置かれている。仕事がはかどりそうな機能的な椅子と、その横に休憩用の深めの座り心地のアームチェア。そして、窓からは氷川丸が見える。詳しい説明は土橋さんのサイトにあるのでこちらをご覧いただきたいと思いますが、土橋さんらしく、無駄がいっさいなくシンプルかつ機能的で美しい空間だった。混沌とした魔窟のような自分たちの仕事机とはまったく正反対で、とても感動した。
 
そんな中での土橋さんとのお話は、お互いの近況報告からはじまり、最近の文具事情にデザインのこと、さらにこれまでのことにこれからのことなど尽きることがなく、暗くなると、事務所から歩いて数分の中華街にある土橋さんおすすめの中華料理屋さんに場所を移して、夜遅くまで続いた。
 
2005年にコンペ会場で土橋さんにトラベラーズノートを見出してもらってから14年。あれからトラベラーズノートは、国内外でのイベントに、トラベラーズファクトリーオープン、さまざまなブランドとのコラボレーションなど、いろいろなことがあったのと同じように、土橋さんも本を何冊も出版したり、それが海外で出版されたり、近年ではメーカーと一緒にステーショナリーの企画をしたりと、その仕事の幅を広げています。それぞれの14年を振り返りながら、自分たちの原点をあらためて思い出すのと同時にその根幹は今も変わっていないことに気づいた。
 
土橋さんは、2003年からpen-infoという文具をテーマにしたサイトを運営しています。ここを自らのホームグラウンドとして、今も定期的に土橋さんならではの視点で、文具やショップを紹介しています。それらは、単に新商品や話題の店を紹介するのではなく、むしろ忘れられてしまいそうな定番商品の魅力を新たな視点で教えてくれたり、メジャーなメディアでは紹介しないような小さいけれど魅力的なお店を紹介しています。
 
どちらかといえばあまのじゃくなので...と言う土橋さんの視点は、同じくあまのじゃくな傾向のある私にとっても、とても楽しく読ませていただいている。今回、それらのコンテンツができる過程やそこへの思いを聞くことができて、サイトを覗くのがさらに楽しみになった。
 
ぜひ皆様もチェックしてみてください。
 
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