2019年7月16日

トラベラーズ米 草取り編

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トラベラーズ米の田植えから約2ヶ月。再び田んぼがある鴨川ヒルズに招集がかかった。今回はミッションは、草取りだ。トラベラーズ米は無農薬なので定期的に雑草を手作業で除去しなければならないようだ。
 
そんなわけで土曜日、寝ぼけ眼をこすりながら朝早く家を出て、電車に乗った。東京を過ぎると少しずつ電車の中の乗客も減り、千葉駅で内房線に乗り換えると車両はボックス席に変わった。向かいの席にハイキング姿のおじさんが座り、おもむろに駅弁を広げて食べ始めた。そんな姿にちょっとした旅気分を感じていると、駅弁の匂いが漂ってきた。あわてて家を出たので、朝食は小さなパンをひとつしか食べてこなかった僕はお腹が鳴った。弁当を食べ終わって、さらに缶チューハイを飲んでいたおじさんもやがて電車を降り、車内はさらに閑散とした。だけど、目的の駅まではまだ先。
 
ボックス席を独占した僕は足を伸ばした。電車のボックス席は、僕にとって本を読むのに最高の場所だ。前日はあまり寝ていなかったのに、眠くなることもなく、たまに車窓の風景に目を休めながら、ずっと本を読んで過ごした。そして電車に乗ってから2時間半。やっと目的の駅に着いた。駅からは、車で迎えに来てもらいさらに20分。途中スーパーに立ち寄りお昼の食材を買い、やっと鴨川ヒルズに着いた。
 
5月に植えた稲は順調に育っていたけど、その周りにはたくさんの雑草が生えていた。今日はこれをすべて取り除かなくてはならない。 早速農作業用の長靴を履くと、勢いよく田んぼの中に足を入れた。すると足は田んぼの泥の中にズブズブと沈んだ。泥の中は不安定で、一歩ずつ進むだけでも足が重い。さらにずっと中腰のまま、泥の中に手を入れて草を根から引っこ抜いていく。なかなかの重労働だ。汗を滴らせながら、抜いても抜いてもなくならない雑草と格闘した。
 
雑草魂という言葉にあるように、僕はどちらかと言えば、雑草に対してはちょっとしたシンパシーを抱いていたのだけれど、この日は心を鬼にして雑草を取り除いた。
 
「ごめんな。ここまでがんばって育ったのに引っこ抜いてしまうのは不本意ではあるけど、やっぱりお米が育つためにはしょうがないんだ」
 
40分ほど続けると、日頃の運動不足と寝不足、さらに仕事の疲れがたまっていた僕は限界を感じて休憩を提案。その後作業を再開するみんなを尻目にしばらく休んでしまった。
 
お昼は、みんなで鴨川ヒルズにあったパスタを茹でて、スーパーで買った野菜とベーコンを炒めナポリタンを作った。棚田を見下ろすオープンデッキで、ビールとともに食べるナポリタンは思いのほか美味しい。気持ちの良い風にあたりながら、しばらく休んでいると、雨が降ってきた。その後、雨足はだんだんと強くなってきたので、もうこれで草取りは中止かなあ、と勝手に思っていたら、「さて、やっちゃいましょう」という声が聴こえた。
 
「そうか、やるのかあ」僕は観念して雨具を取り出し、再び草取りへと向かった。小雨が降るなか、ズブズブと田んぼの中に足を入れた。

みんな疲れているから言葉も少ない。僕はもはや雑草の立場などこれっぽっちも考えず、ただ黙々と雑草をむしり取っていった。いつかそのことについてここに書くのか、書かないのか、今は分からないけど、最近出会ったある人たちの影響で、ここ数日頭の中でオザケンの「痛快ウキウキ通り」がリフレインしている。「プラダの靴がほしいの〜」と頭の中で歌いながら、農作業用の長靴を履いて、田んぼの中で泥まみれになって雑草と格闘した。歌詞の世界と現実とのあまりにも大きいギャップに気づかないくらいヘトヘトになりながら、ようやく今日のミッション終了。
 
たっぷり汗をかいたせいで、ほとんどその意味を成さなかった雨具を脱ぎ、びっしょりに濡れたTシャツを着替えると、苦しみをともに分かち合ったみんなでデザートにと買っておいた、スイカを食べた。
 
いや〜、お米づくりは大変です。みなさん、ご飯は残さず食べましょう。

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