TRAVELER'S FACTORY KYOTO
6月11日、トラベラーズファクトリー京都が、ついにオープンを迎えることができました。
思えば4月のはじめ、緊急事態宣言が発令される直前のこと。4月16日のオープン予定日に向けて、バタバタと商品を並べ終わりほっと一息ついた頃に携帯が鳴り、オープン日の延期を伝えた。そして次のオープン予定日5月21日は予想通り再延期。さらにその次のオープン予定日はまた延期になるのを恐れて空白のまま推移し、緊急事態宣言が開けてから、やっと6月11日が3回目の予定日として伝えられた。二度あることは三度あるのか、三度目の正直なのか、正直に言えば本当にオープンできると確信できたのは、そのほんの数日前だったのかもしれない。
オープン日の朝、近くのイノダコーヒ本店でモーニングを食べて、しっかりお腹を満たして新風館へ。トラベラーズファクトリーの店内に入ると、BGMのスイッチをオンにして深呼吸をする。ジェット機のSEとともにキンクスの『This Time Tomorrow』が流れる。あたらしい旅の始まりを感じさせてくれる曲だ。
「やっとこの日を迎えられたんだな」しみじみと思いながら店内をゆっくり歩く。ライブラリースペースにはみんなから届いた京都のおすすめスポットの写真が飾られている。入賞賞品は前日京都のスタッフがひとつずつ丁寧にラッピングして発送した。レジ脇の壁には橋本が時間をかけて手描きで描いたトラベラーズのメッセージ。近くで見ると、手描きならではの味わいが感じられるのがいい。足場板に、壁に取り付けられたフレーム、置かれたレコードや本、それぞれの棚や装飾品、並んでいる商品たち。それらすべてが、そこに関わる人たちの想いの結晶であることを想い、感謝の気持ちとともに背筋が伸びるような感覚を覚える。
オープン直前。ここ数日みんな遅くまで準備をしていて、きっと疲れているんだろうけど、みんなの目はキラキラしている。オープンが伸び伸びになって長い期間待機していたスタッフたちは、仕事ができることの喜びが身体中から滲み出ているのがわかる。
いよいよオープンの時間を迎えると、コロナ対策で決めていた店内に入ることができるお客様の数はすぐにいっぱいになった。たくさんの方が「楽しみにしていたんです」とか「おめでとうございます」と声をかけてくれた。商品を手にしたり、スタンプを押したりしながらたくさんの笑顔を見せてくれた。京都のおすすめスポット入賞者の方が早速足を運んでくれたので、展示の写真と本物の入賞作品を並べて写真を撮らせてもらった。
ずっと自粛期間が続いていたこともあったし、今回はオープンまでいろいろあったこともあり、店内で皆さんと実際にお会いしてお話をする時間がほんとうに楽しい。
「来てくれてありがとうございます」僕らは心から思って何度もその言葉を発した。やっぱりこの感じなんだよな。リアルに旅をして人と出会うこと。もちろんまだいろいろ注意しながらやらないといけないんだけど、リアルな場所で人と出会い話をすることは、ネットでは代替えできない特別なことなんだな。あらためてその魅力に気付かされた。
途中、店を抜けて、エースホテルやアップリンクをはじめ新風館の他のお店も覗いた。エースホテルのロビーでは、前衛的な音楽とダンスのパフォーマンスが繰り広げられていた。ここのショップコーナーではトラベラーズノートの販売もしてくれているのだけど、仕入れ担当のヒナさんを見つけると思わず声をかけた。「やっとオープンできましたね!」ここ数日は準備のためほとんど寝ていないと言いながらも、明るく元気に話をしてくれた。
アップリンクでは映画を見る時間は残念ながらなかったけれど、気になっていた1970年のカルト映画「エル・トポ」のTシャツを買った。旅先としてこの場所を訪れて、トラベラーズファクトリーとあわせて、アップリンクで映画を見たり、エースホテルのロビーで、ストンプタウンのコーヒーを飲んだりして1日ゆっくり過ごすのも楽しそうだな。ここには、京都らしい文化的な匂いに旅先で訪れたような異国感がある。
トラベラーズファクトリー京都は、無事オープンすることができたけれど、それでも海外の方はもちろん、遠隔地の方など行きたくても来ることができない方もたくさんいらっしゃると思います。そんな方に少しでも店内の雰囲気を感じていただけるよう、トラベラーズファクトリーのインスタのストーリーズに動画をアップしました。だけどいつか安心して旅ができるようになったら、ぜひこの場所に足を運んでいただきたいです。
今後は、ライブラリースペースでは、ゆっくり本を読んだり、ノートを開いたりできるようにしていきます。近所の方にとっては、日常の中に旅を感じることができる場所になりたいと思っています。
this time tomorrow, where will we be?
明日のこの時間、ぼくらはどこにいるのだろう。
This time tomorrow what will we see?
明日の今頃、ぼくらは何を目にしているのだろう。
(The Kinks "This Time Tomorrow")
トラベラーズファクトリー京都、今後とも末長くよろしくお願いします。