トラベラーズファクトリー エアポート 6周年
7月8日、いまだ休業が続くなかで、トラベラーズファクトリーエアポートが6周年を迎えた。
ステーションが3周年を迎えた4月27日も同じように休業中だったけど、あれから中目黒とステーションは営業を再開し、京都もオープンを迎えた。7月になった今は成田空港のエアポートだけが休業を続けている。
ちなみにトラベラーズファクトリー中目黒がオープンしたのは2011年。その3年後の2014年にエアポート、さらにその3年後の2017年にステーションがオープン。京都がオープンした今年2020年もまたその3年後。 結果的に中目黒のオープン以来、3年周期で新しい店がオープンしていることになるけど、もちろんこれは計画していたわけでもなく、まったくの偶然。そもそも中目黒以外はすべて先方のお声がけがきっかけで出店が決まっているので、自分たちでコントロールできるものでもない(そんなオリンピックなみの出店計画があったら逆にすごいけど)。
新しい店を作る時は、既存のお店をコピペするようなやり方には興味がないから、いつだって一からのスタートになる。そのうえ少ない人数でバタバタやっているから、店がオープンした直後はへとへとになってしまい新しい店を作るなんてことはもう二度とやるまい、なんて思ってしまう。だけど、それから1、2年過ぎて、僕らの心をくすぐるような魅力的な話があると、面白いことが起きそうだな、とその後大変なことになるのはわかっているのに、禁断の果実に手を出すように、ついやってみようと思ってしまう。そして実際にオープン直前になると、やっぱりバタバタしながら、もうこんなことは二度とできないと思う。それを懲りずに何度も繰り返しているのだ。
だけど無事オープンを迎えて、たくさんの方が足を運んでくれて笑顔を見せてくれると、もうそれだけで報われたような気持ちになるし、新しい場所が生まれることで、新しい仲間との出会いが生まれたり、嬉しいこともたくさんあるから、いつもやって良かったと思うんだけどね。今回の京都は、いつもと違った苦労もあったし、感動もひとしおだった(もちろん今は次の店をどうしようか、という計画もないし、そんなことを考える心の余裕も気力もない)。
京都に新しい店をオープンするにあたり、ぼんやりとイメージしていたことがあった。例えば海外からやってきたトラベラーズノートユーザーの方が成田空港に降り立ち日本に入り、それから中目黒に立ち寄り、さらに東京駅から新幹線で京都に向かう。その旅路の中でそれぞれのトラベラーズファクトリーを行き来することで、旅がもっと楽しく充実したものになれば楽しいなと思っていた。
それぞれの店でノートにスタンプを押してカスタマイズしたり、スタッフやお客さん同士で旅の話をしながら、寄り道で立ち寄る場所を決めたりする。さらに4つの店を繋ぐようなイベントがあっても楽しいなあ。京都に新しい拠点ができることで旅の範囲も広がり、同時にトラベラーズノートとの旅の楽しみも広がればいいなと思っていた。だけどコロナで、旅の在り方はすっかり変わってしまい、そんな旅を促すような投げかけは、今現実的ではなくなってしまった。
先月末は会社が期末ということで、休業中のトラベラーズファクトリーエアポートでも棚卸しがあった。棚卸しのために成田空港を訪れたスタッフの話によれば、案内板に掲示されているフライトのほとんどは欠航で、空港内を歩くのは空港職員ばかりだったとのこと。さらにトラベラーズファクトリーがあるショップエリアは、シャッター商店街のようにほとんどの店がシャッターが下ろし、閑散とした雰囲気に包まれていたそうだ。
6年前この場所に出店を決めた理由は、国際空港の特別な雰囲気に魅せられたからだ。成田空港は、旅がはじまる時の緊張や高揚感、無事に旅を終えた安堵感など、さまざまな旅人の想いが交差し、たくさんのワクワクやドキドキに満ち溢れた魅力的な場所だ。そんな場所にトラベラーズファクトリーがあったら、トラベラーズノートとの旅はもっと楽しくなるはず。そんな思いでエアポートがオープンし、6年間実際にたくさんの旅人たちとそれを共有することができたと思っている。
今は長い休日のように静かな日々が続いているけど、いつかまた世界中の人が安心して自由に旅ができて、この場所が賑わいが戻る日がまた再びやって来ることを心から信じている。もうこのまま死ぬまで国境を越える旅ができないなんて、そんなことありえないですよね。そんな人生は考えたくもないです。次に成田空港から飛行機に乗って旅に出る時は、はじめての飛行機の旅の時の緊張感と高揚感をしみじみと思い出すんだろうな。それまでもうしばらく我慢。我慢。