2021年1月25日

コーヒーの道具

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家で使っているコーヒーミルは、カリタのもので手に入れたのは26年前のこと。会社に入って最初の赴任先として仙台に引っ越し、はじめての一人暮らしをするようになってからしばらくして手に入れた。
 
当時、アパートのすぐ近くにヨークベニマルというスーパーマーケットがあった。コーヒーが好きだったこともあって、買い物ついでに、ヨークベニマルの中にあった小さなコーヒー屋でコーヒー豆をよく買っていた。
 
そこでは豆を200グラム買うたびに、スタンプを押してくれて、20個たまると、最も高価なブルーマウンテンが100グラムもらえるというサービスがちょっとした楽しみだったりした。最初は豆を挽いてもらって買っていたのだけど、封を開けた時にふわっと広がるコーヒーの香りがいつも楽しめるのならと、ある日、コーヒー屋の棚でうっすらと埃をかぶっていたコーヒーミルを手に入れることにした。あの頃は種類もそれほどなく、デザインや価格の選択肢はほとんどなかった。
 
当時の自分にとっては決して安い買い物ではなかったけれど、コーヒーが好きだったし、近くに友人もいない土地での一人暮らしで、休日にはヒマはたっぷりあったから、コーヒーの豆を挽くことで時間の隙間を埋めるのも悪くないなと思ったのかもしれない。あれから26年経った今でもこのミルは問題なくコーヒー豆を挽くことができる。あのコーヒー屋でよく買っていた深煎りブレンドから始まり、アアルトコーヒーのトラベラーズブレンド、旅先で手に入れたたくさんのコーヒーに、最近ではかもがわカフェのハウスブレンドまで、今までたくさんの豆がこのミルで粉になっていたことに思いを馳せると感慨深いものがある。
 
老舗中華料理店の中華鍋みたいに、ミルの歯車にいろいろなコーヒーの味が染み付いていて、それが挽く豆の味に深みを与えているなんて、想像をしてみたりもする(そんなことはないのだろうけど)。

そして、そうやって挽いた豆で淹れたコーヒーを飲むためのマグは、ヴィンテージのもので9年前の12月に手に入れた。1900年ごろからアメリカのダイナー用のマグを作っていたビクター社のデッドストックのもので、トラベラーズファクトリーで開催したベンリーズ&ジョブのポップアップで購入した。
 
その頃から、金沢のベンリーズ&ジョブは僕らにとって憧れの店で、店主に田中さんは、店づくりの師匠のような存在だった。だから、トラベラーズファクトリーでイベントを開催できたのはとても嬉しく、その記念で自分でも何かほしいなと思っていた。

このマグは、まさにアメリカの田舎町のさびれたダイナーを想像させてくれたし、ぼってりした重厚感のある無骨な佇まいも好きだった。実際に肉厚で思いのだけど、その分割れにくく、9年経った今でも問題なく使えている。このマグにも9年分のコーヒーが染み込んでいるんだろうな。ちなみにものぐさな僕は、このマグの上にドリッパーを直接のせてコーヒーを淹れている。いろいろ作法はあるのかもしれないけど、一杯分しか淹れないのであればこれで十分。
  
そして今日のコーヒーは、アアルトコーヒーのトラベラーズブレンド。これについては説明不要だと思うけど、最初にお目見えしたのは2010年の3月のこと。まだトラベラーズファクトリーがオープンする前、青山のスパイラルホールで開催したイベントではじめて販売した。試作品が庄野さんから届いてみんなで飲んだ時は感動したなあ。あれから10年以上経って、今でもこうやって気軽に飲むことができるのが嬉しい。
 
そして、これらの道具の絵を描いていたトラベラーズノートは使い続けてもうすぐ15年になる。長く使うこととか、長く続けていくことは、それだけ価値があることだと思うな。いつも変わらず美味しいトラベラーズブレンドを飲みながら、ふとそんなことを考えた。
 
ただいま、トラベラーズファクトリーではアアルトコーヒーの豆にコーヒー道具をいろいろ取り揃えています。家にいる時間が増えていると思いますので、ぜひ豆から挽いて、美味しいコーヒーをお家で味わってみてください。
 
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