2021年3月22日

春は新しいリフィルとともに

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3月に入り、だいぶ暖かくなってきたので久しぶりに自転車通勤を再開することにした。そんなわけで、まずはトラベラーズバイクとともにトーキョーバイクへ行き、すっかり溝がすり減ってしまったタイヤを新品に替えてもらうことにした。ついでに新しいヘッドライトを取り付けてもらい、ひと通りメンテナンスもしてもらった。
 
作業が終わって自転車を引き取りに行くと、見た目はもちろん乗り心地まで変わったようで、なんだか新車を手にしたような気分になった。だけどハンドルのトラベラーズノートの革はすっかり色も変わり、しっくり手に馴染むし、トラベラーズのロゴが刻印されている真鍮のヘッドバッジの色もいい感じで味が出ている。「今年もたっぷり走るからよろしく頼むよ」そんなことを心の中で呟きながら、ワクワクした気分でペダルを漕いだ。
 
B-Sides & Raritiesの発売に先駆けてインスタでは事前にサンプルを送った方々の使用例の写真やコメントをアップしている。僕らが想像もしていなかった使い方や視点がたくさんあって、見ていてとても楽しい。まだ一部しかアップしていないけれど、みんな素敵な写真とともにとても濃いコメントを届けてくれているので、ぜひご覧いただきたいと思います。
 
そういえばこのブログのコメントで、SallyさんがB-Sides & Raritiesのリフィルに何を描こうか、どんな風に使おうか苦労しながら頭を悩ませているということを書いてくれていたけれど、トラベラーズらしいなあと嬉しく思ったのと同時に、これって商品としてどうなんだ、とも思った。
 
普通、商品はニーズがあるから買うものなのにそのニーズを苦労しながら捻り出してもらうって、何様なんだと正直思う。だけど作っている本人が言うのもなんだけど、この気持ちはとてもよくわかるのだ。僕自身が、リフィルのサンプルが完成してはじめて、さあどう使おうかと考えたのだけど、それが悩ましくもまた楽しい体験なのだ。
 
例えば、ジャバラリフィルを手にした時。はじめて手にするファーマットを眺めながらしばらく考えて、まずは旅日記を描くことにした。サンフランシスコからロサンゼルスまで車で旅した時のことを描いてみたのだけど、描いて気づいたことがたくさんあった。
 
ジャバラは、リフィルの1ページ分が折り目を付けながら繋がっているので、ページを意識することもできるし、無視して連なって描くこともできる。そのことで紙面から、旅の時間の経過や距離感をよりリアルに感じることができる。さらに表と裏に分かれているのもおもしろい。表には旅の前半を描くことになる。すると、そこには高揚感が高まり旅が深まる姿が自然と描かれていくのに対し、裏は旅の後半、旅がピークを過ぎて終わりに向かっていくのを実感しながら描いているような気分になる。
 
ジャバラ状に折った1枚の長い紙が、まさにレコードのA面とB面のように描く心持ちにちょっとした変化をもたらしてくれるのだ。表面は6ページ分で裏面は7ページ分というのもアルバムの曲数くらいでちょうど良い。リフィルが変わることで、描く内容はもちろん描く気分も変わっていくのがおもしろい。
  
耐洗紙は、企画段階ではノートを洗うシーンなんて実際にはないだろうから、アウトドアとかガーデニング用に使うのにどうかと思っていた。だけどサンプルができあがり、途中まで書いてから実際に洗濯機で洗ってみると、洗いざらしのシャツみたいにシワがでたノートの風合いが素晴らしいことに気づいた。なんのために洗うの?そんなことに意味あるの?と真面目に問われると、ほんとうに返す言葉がないのだけど、洗いざらしのノートが醸し出すシワのある紙の風合いがなんともいえず素敵で愛おしく、ただそれだけの理由でこのノートを使いたいと思えてしまうのだ。
 
超軽量紙は、透け感のある薄い紙なので、トレシングペーパーみたいに写し絵をしたり、レイヤーのような表現ができるのが魅力だけど、個人的には昔の辞書のような薄い紙のパリパリした質感と書き心地が気持ち良いところが好きだ。さらに書いた後にページをめくる感じも気持ち良い。
 
サンプルを手にした後、ちょうどリモート会議があったのだけど、気持ち良くて会議中に何ページも落書きをしてしまった。こんなことを言うと怒られちゃうかもしれないけど、ページ数もたくさんあるし、気の進まない会議や授業での落書き用にもおすすめです(冗談ですよ)。
 
トラベラーズノートに新しいリフィルをセットするだけで、まるで新しい道具を手にしたような新鮮な気分になる。ぼんやりと考えていた新しいことを本気ではじめてみようという気持ちになれそうだ。
 
トラベラーズバイクで家に向かう途中、目黒川を横切ると、桜の花びらが少しずつ開きはじめているのが見えた。満開まであと一週間足らずだろうか。もう本格的に春はそこまで来ている。
 
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