2021年10月18日

TEN NOTEBOOKS, TEN COLORS

20211018b.jpg
 
東京オペラシティーで開催中の和田誠展に行ってきた。幼少期のらくがきから高校時代の先生の似顔絵、美大時代の作品、有名なハイライトのパッケージ、数々の本の装丁、ポスター、似顔絵まで膨大な数の作品が並んでいてとても楽しめた。
 
幼少期から亡くなるまでの作品を時系列で並べているコーナーがあって、あの朗らかなユーモアとシュールでブラックなセンスが両立したような氏の独特のスタイルは、学生時代に制作した『夜のマルグリット』という作品で既に完成されていたのがわかる。もちろんそれ以降も新しい表現方法を取り入れ、作品の幅は広がっていくのだけど、そこには和田誠としか言いようがない独特の味やスタイルがずっと変わらず貫かれている。だから彼のイラストやデザインは、1960年代から亡くなる2019年まで一貫して古びることがなく、今も新鮮な驚きや感動を与えてくれる。
 
話は変わるけど、僕のバッグにはトラベラーズファクトリー1周年ロゴのカンバッジが付いている。ちょうど今10周年記念イベントのために、各周年ロゴをデザインしたカンバッジを作っているのだけど、それとはちょっとだけデザインが違う。たぶん1周年を記念したイベント用に作ったのだと思うのだけど、このバッジのことについてはトラベラーズファクトリーのサイトに記録もないし、販売したのかノベルティー用に作ったのかもまったく覚えていない。
 
もしかしたら、何かに使おうと思って橋本がデザインをしてとりあえずカンバッジの見本を作ってみたけど、タイミングが見つからずリリースしないまま終わったのかもしれない(そういうものもいくつかあって、僕は密かにB-Sidesのカンバッジを持っている)。ちなみに1周年ロゴのカンバッジの横には、ちょうどバッジと同じくらいの大きさだけ、バッグの生地が濃くなっていて、しばらくそこにバッジが付いていたのだけど、知らないうちに取れてしまったらしい痕跡が分かる。きっと同じタイミングで付けたのだと思うけれどどんなバッジだったかは覚えていない。
 
トラベラーズファクトリーがオープンした頃、橋本がカンバッジを作る機械をどこかのサイトで見つけて、早速手に入れると気軽にカンバッジを作ることができるのが面白くて、新しいおもちゃを手に入れたみたいにいろいろ作って遊んだ。そして、これをみんなにも体験してもらいたいと、丸いシートに文字を書き込んだり、スタンプを押してオリジナルのカンバッジを作るイベントを思い立ち、開催した。もうちょっとコロナが落ち着いたら、あのイベントをまたやってみたいな。
 
周年記念缶みたいに、10種類のデザインが時系列で並んでいるのを見るといろいろ変化しているようで、そのスタイルは一貫して変わっていないとも思う。もちろん、その時々の気分や思いを反映して作っているのだれど、トラベラーズらしさの重要な要素でもある旅を感じるワクワクするデザインと、そこに添えられているちょっと理屈っぽくて分かりづらいメッセージも10年間変わらない。
 
質、量ともにレベルが全然違うし、比べるのは大変おこがましいけれど、和田誠展で並んでいた氏のライフワークとも言える40年分2000枚以上の週刊文春の表紙もまた、やっぱり和田誠らしいとしか言えない一貫性があった。映画に音楽、旅先で見つけた物、民芸品、花器、鳥など、40年分だから本当にたくさんのモチーフが描かれ、圧倒的な物量なのだけど、どのモチーフにも氏のパーソナルな思い入れや愛情が感じられ、それゆえに親密な温かさを見るものに与えてくれる。
 
デザインもものづくりも文章も、一貫した表現を長く続けていくためには、その人自身の内側から湧き出るパーソナリティを源流とする必要があると思うし、だからこそ、その人にしかできない表現が生まれる。僕はそういった作品が好きだ。
 
トラベラーズノートの最大の魅力は、使い手らしくカスマイズすることによってその人のパーソナリティを引き出してくれて、自由で温かな佇まいが、その人ならではの表現を促してくれることだと思っている。だからトラベラーズノートは使う人によって、見た目も使い方も違う。トラベラーズファクトリー10周年ロゴの「TEN NOTEBOOKS, TEN COLORS」は、そのことを言葉にしている。みんなそれぞれ違うって素敵なことだと思う。
 
20211018c.jpg
 
20211018d.jpg
 
20211018e.jpg
 
20211018a.jpg