雨にぬれても
トラベラーズファクトリー中目黒の建物はけっこう古い。オープンする際に聞いたときには、オーナーは確か築50年か60年くらいと言っていたような気がするけど、あれからさらに10年以上経ったので今では築60、70年ということになる。(そんな曖昧な感じもまた古い建物ならではですね)
オープンする前に建物の中を見せてもらったとき、外観以上に味が出ているくたびれ具合にすっかり魅了されるのと同時に、お店として安全でちゃんと機能するのかどうか、けっこう不安があった。特に、急な階段を登って2階を見たときには、さらに不安が募った。上を見ると天井はボロボロで、下を見てみるとなぜか床板の間にはうっすらと隙間があって、そこから1階が覗けて見えて思わず足がすくんだ。場所によっては床板は腐りかけていて、知らずに足を踏むと、ぐにゃっとした柔らかい感触を感じる。きっと、そこで思いっきりジャンプをしたら、ドリフのコントみたいにそのまま床が抜けてし、1階まで落っこちてしまうんだとうなと思った。
だけど、懐かしい装飾が施された磨りガラスから優しい光が差し込む空間は、1階とはまた違って明るく心を落ち着かせてくれるような雰囲気あって、1階との対比も素敵だと思った。
そんな建物だったけれど、その後、すべてのトラベラーズファクトリーの内装を手がけてくれた大将が、見終わった後に「直せば大丈夫ですよ」と太鼓判を押してくれたこともあって、この場所に決めた。そうして、ボロボロだったクラッシックカーをまた走ることができるようにレストアするように建物をトラベラーズ仕様にリノベーションしてもらい無事、オープンすることができた。
その後も古いなりに、トラブルはけっこうあったけれど、それでもなんとか10年以上営業を続けることができた。もともと古かった建物がトラベラーズファクトリーとしてこれまでの歴史を受け継ぎ、さらに新しい歴史を重ねていけるのも嬉しい。この建物を最初のファクトリーに選んだことを悔やんだことは一度もないけれど、ここでよかったと思ったことは今まで何度もあった。
だけど、ここ最近の雨漏りは、このままだと営業に支障をきたしそうレベルに迫ってきた。雨漏りは古い建物にありがちなトラブルだし、これまでも何度かあったのだけど、その都度、屋根の一部や壁のヒビにパテを塗ったり、天井裏を細工したりして、小さな修理を続けてきた。それから月日が経ち、大雨に襲われると、またどこからともなくじわじわと水が漏れて、ちょっとした修繕をするという、モグラ叩きみたいな状態がしばらく続いていた。
そんな中、今年の梅雨のゲリラ豪雨のせいなのか、経年劣化でいよいよ屋根どこかに大きな穴が空いてしまったのか、それともその両方が理由なのか、とにかくタガが外れてしまったみたいに一気に雨漏りが加速してしまい、いよいよこれまでのレベルの補修では済まなくなってきたのだ。
この前の雨では、2階の床がびしょ濡れになるほど水が漏れてしまった。とりあえずの応急処置として、大将に来てもらい炎天下の中、天井を覆うようにブルーシートを貼ってもらった。さらに秘密基地のひみつの場所で、個人的にはお気に入りの場所であった、屋根の上に設置したウッドデッキも雨漏りの修繕のために撤収してもらった。もちろん、それで完全に雨漏りが防げるとは思えないので、近々で大掛かりな補修をする予定を組んでもらっている。
トラベラーズファクトリー中目黒の建物は、運転しづらい上に故障が多いクラシックカーみたいなもので、古いゆえの味のある佇まいが魅力だけど、その分ちょっとした不便は多いし、けっこう手間もかかる。だけど、そんなところがまたトラベラーズっぽいと思うし、手がかかるゆえに愛着が深まるのも魅力だったりする。
まあでも、今は中目黒の雨漏りに関しては味と言うにもほどがある、というか、怪我をおして包帯を巻いて出場する満身創痍のスポーツ選手のような状態でもあるので、秋が来る前には屋根を張り替えて、台風シーズンを万全な状態で迎えたいと思っている。それまではトラベラーズファクトリー中目黒を温かく見守っていただけると嬉しいです。まずは修繕前にゲリラ豪雨や台風が来ないことを祈ります。
話変わって、トラベラーズファクトリー京都で開催したペイントカスタマイズに、たくさんの方に参加いただきありがとうございます!引き続き、The Superior Laborのエンジニアバッグなどのカスタムメイドオーダーを各店で受け付けていきますので、こちらもよろしくお願いします。
最近は、京都でのイベントが続きますが、屋根の修理が終わって、いろいろ落ち着けばまた中目黒でもイベントをいろいろやりたいと思うのでよろしくお願いします。
今日から8月。暑い日が続きます。くれぐれもご自愛ください。