2023年3月 6日

深夜ラジオのように



 皆様、こんばんは。トラベラーズラジオの時間がはじまりました。
 
 日曜日の深夜1時、どんな時間をお過ごしでしょうか。布団に入ったけれどなんとなく寝付けずにラジオを付けた方、逆に眠い目をこすって机で勉強しながら聴いている方、家路に向かって深夜の高速道路で車を走らせながら聴いている方、もしかしたら旅先で聴いてくれている方もいるかもしれません。夜も深まったこの時間。この番組を聴くことで日常の中にひとときの旅を感じていただけたら嬉しいです。では今夜の一曲目は、ビーチボーイズの「素敵じゃないか」です。どうぞ。

♪MUSIC

 3月になりましたね。ここのところ、まさに三寒四温といった感じで、暖かい日が続くと思ったら、その翌日には急に寒くなったりして、体がついていくのが大変です。でも、そうやって少しずつ春がやってきてるんですよね。
 
 僕はこの春が近づいてくる時期がどうも苦手なんですよね。その理由のひとつは、きっと他にもそういう方は多いと思うんだけど花粉です。花粉症になったのは確か25年くらい前のことなんだけど、今でもその瞬間を覚えているんですよ。

 ちょうどその頃、営業をやっていて秋田で杉並木がまっすぐ続く道を車で走っていたんです。春の暖かい日差しが気持ち良くて、窓を開けて走っていたんですね。すると風がごーっと吹き、砂嵐みたいに花粉が舞うのが見えて、それを思いっきり浴びてしまったんですね。それで花粉のレッドゾーンをいっきに超えたみたいで、急に鼻がむずむずしだして、「あ、花粉症になった」って気づいちゃったんですよ。

 それからずっと花粉症と付き合っているんだけど、ここ数年は以前と比べると花粉症も軽くなってきた気がするんですよ。どうしてかよく分からないけれど、歳をとると、だんだん耐性ができてくるのかな。だとすると、今花粉で辛い方も歳をとれば、楽になるかもしれないですよ。若い人は分からないかもしれないけど、歳をとるにつれて良くなることって実はけっこうあるんですよ。ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンも歳をとるのは素敵じゃないかって言ってるしね。

 あと、この季節が苦手なもうひとつの理由は、例えば春一番がふいてきたりすると、なんとなく心が塞ぎ込んでしまうというか、どんよりした憂鬱な気分になってしまうんですよ。これは若いころからずっとそうなんだけど、皆さんもそんなことないですか?

 ネットで調べてみると、ちょうどこの季節に気温の変化や環境の変化が激しかったりすることが原因みたいなんだけど、僕の場合はあえて忙しくしたり、旅をしたりすることで、心に浮かんだ憂鬱な気分を打ち消してなんとか乗り切るようにしているんです。あと、心が沈んだときは、静かな音楽を聴きながら、無心に作業をするように、ノートに向き合って絵を書いたり、コラージュしたりしたりするのもいいですよ。それではここでもう1曲。のんびりノートに向かうときにおすすめの曲です。

♪MUSIC

 エリオット・スミスの「バラッド・オブ・ビッグナッシング」でした。サビで繰り返す「Do what you want to whenever you want to/いつでもやりたいことをやればいいんだよ」というフレーズがなんだか身に染みますね。このエリオット・スミスに、ニック・ドレイク、ティム・バックリィを加えた三人のシンガーソングライターを、僕の中で勝手にメランコリック御三家と決めていて、心が沈んだときにあえてその気分に逆らわないで、ダウナー系の薬を摂取するように聴いています。春に限らずそんなときもありますよね。それでは、リスナーのみんなからのお便りを紹介しますね……

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 ラジオの深夜放送が好きだったので、それ風にブログを書いてみたのですが、15年前、「TRAVELER’S notebook みんなの投稿」サイトをはじめたときも、僕の頭の中でイメージとしてあったのは、ラジオの深夜放送でした。

 当時から僕らは、トラベラーズノートは使う人それぞれのパーソナルな想いが強く反映されるものでありたいと思っていたし、実際ユーザーの方にお会いすると、思い入れたっぷりでご自身のノートのことを語ってくれました。トラベラーズノートと旅した写真、絵やコラージュなどが表現されたノートの紙面、ノートから生まれたストーリーを投稿してもらい、みんなでそれを共有できるサイトのことを考えたときに、僕はラジオの深夜放送のことを思い出しました。

 他の人は寝静まっている深夜に、ひとりで机に向かいながらラジオに耳を傾ける。親もほとんどの友達もきっと知らないラジオの世界に触れながら、だけど、自分以外の聴き手が日本中にいて、会ったこともない誰かと繋がっているような気がしました。「みんなの投稿」をきっかけにそんな温かく親密な関係が生まれたらいいなと思ったのです。

 リスナーが放送局に投稿するようにノートのことを投稿してもらい、それらをラジオのパーソナリティーが紹介するようにサイトに掲載して、みんなで共有する。最初、投稿いただいた方への景品としてステッカーを作ったのは、深夜ラジオの景品にステッカーが多かったからでした。実際にサイトが始まると、僕ら運営側はパーソナリティーというより、ひとりのリスナーとして投稿を見るのを楽しみました。

 その後、SNSが広まり(始まった頃はSNSは一般的ではありませんでした)、たくさんの方のトラベラーズノートをそれらで見ることができるようになったけれど、今でも僕らにとってこの投稿サイトは、誹謗中傷など一切ない(それゆえに炎上もしない)、温かく親密なトラベラーズノート専用のSNSのような存在として、毎月の更新を楽しみにしているし、実際に多くの方にアクセスいただいています。

 そんな「TRAVELER’S notebook みんなの投稿」が終了してしまうことになりました。その詳細については、すでに公式サイトでアップしているこちらをご覧いただきたいのですが、変化が激しいネットの世界で、15年間続けてきた同じフォーマットを継続できなくなってしまい、今回断腸の思いで終了することになってしまいました。まずは、今まで投稿いただいた皆様に感謝いたします。ほんとうにありがとうございました。
 
「みんなの投稿」は4月末に一度クローズしますが、夏頃までにはアーカイブはご覧いただけるようになります。15年分のたくさんの方のトラベラーズノートへの想いが詰まった宝箱のようなサイトです。まずは4月末までご覧いただけますのでぜひ。