TRC Gathering at NAGAREYAMA FACTORY
先週の金曜日、トラベラーズとしては初めてとなる、トラベラーズノートユーザーの方々をご招待しての流山工場見学イベントを開催しました。まずはご参加いただいた皆様、ありがとうございました。近隣の方だけでなく、金沢や大阪、徳島などの遠方から参加してくれた方々に、オーストラリアとシンガポールから来ていただいた方もいて、皆様に喜んでいただけるかどうか不安でしたが、たくさんの笑顔を見ることができて本当に嬉しかったです。また、イベントを全面協力体制でサポートしてくれた工場長はじめ流山工場の皆さん、トラベラーズスタッフのみんなもありがとうございます。そしてお疲れ様でした。
いやあ、楽しかったなあ。なんだかこの感じ、久しぶりです。イベントが終わった週末。無事に終わってほっとした心地よい疲れの中で、トラベラーズとして新しいことをみんなでやり遂げることができた喜びをジワジワと実感しながら、このブログを書いています。今回のイベントは、トラベラーズのメンバーはもちろんだけど、さらに流山工場のみんなと一緒になって、お客様を迎えてやり遂げることができたのが何より嬉しかったです。
例えば、トラベラーズファクトリーの新店をオープンするときは、当然そこに並ぶ商品が必要になるので、ものづくりの拠点である流山工場のみんなの協力なしには、無事にオープンを迎えることはできません。しかもそんなときのものづくりは、工場にとって厳しいスケジュールで難しい仕事になることも多いのに、それでも職人たちは知恵と経験と熱いハートで、いつもオープン日に間に合うよう仕上げてくれるのです。
僕らはその商品が並び、お客様が喜んで手に取ってもらう姿を見ることで、それまでの苦労が報われるような喜びを感じるができるけれど、工場の職人たちは、その瞬間に立ち会うことはできません。
また僕らは、その商品がどんな想いで、どんな過程を経て作られたかを、公式サイトやブログ、SNSはもちろんだけど、そのことが表現された場を訪れ、スタッフたちと直接話をすることで、よりリアルな体験を伴って伝えたいと考えています(それがトラベラーズファクトリーを作ることになった一番の理由です)。だから、ものづくりの過程を知るのは、やっぱり実際に工場を見てもらい、職人たちに会って直接伝えてもらうのが一番だし、トラベラーズノートを愛着持って使ってくれている方なら絶対に楽しい体験になるはずだと思っていました。スパイラリリングノートバイキングは、そのことを少しでも感じてもらいたいとの思いで開催しているイベントだけど、工場に来てもらうことにはかないません。
この日は、工場での生産現場の見学ツアーとあわせて、いくつかの特別な企画をご用意しました。そのひとつは、橋本がこのイベントのためにデザインしたオリジナルステッカーを職人が実際に活版印刷して、皆さんにプレゼントするということ。活版印刷はインクが乾くまで時間がかかるので、前日に1色印刷して、皆さんにお渡しするときに乾くように、当日の朝早くにもう1色を印刷していました。その後、見学に来た方に見てもらうよう、職人が一度止めた印刷機をもう一度動かしてくれています。
そして、初めての試みとしてリフィルバイキングを実施。参加者の方にリフィルの中紙の紙の種類を自由に選んで並べてもらい、さらに表紙には2種類のオリジナルデザインの版と箔の色を選んで、その場で箔押しをして、さらに最後にそれを一冊ずつステッチャー製本機に流して製本をするというイベントです。このリフィルバイキングもいつか開催したいと思っているイベントなのですが、まずは本物の教場の製本機を使って体験していただきました。
見学が終わると、最後に工場の食堂に皆さんが集まり、トラベラーズブレンドをふるまったり、スタンプでカスタマイズしてもらったりする時間を設けました。その際のサンプライズとして、今年初めに発売したトラベラーズダイナーの革カバーを抜いたコースターをプレゼントしました。実はこれは、実際の商品を生産する際に革に傷があったり、型押しがきれいにでなかったりして使えなくなっていた革を使って作ったのですが、こういったものが作れてしまうのも工場のイベントならではですね。
参加した方が皆さんおっしゃっていたのは、実際にものが出来上がるまで、たくさんの人の手がかかるということです。どちらかと言うと流山工場は、一度に何万、何十万という大量のものを作るというよりは、比較的少ない量で生産できることが特徴の工場となっています。巨大な機械のボタンをピッと押せば、自動的にものが出来上がるわけではなく、各工程はそれぞれ別の機械で行い、その中には箔押しのように一枚ずつ手で差し入れて加工したり、スパイラルリングノートのようにリングを手作業で綴じたりするような加工もあります。そのため、スピードやコストは大量生産にかないませんが、その分、職人の工夫によって、ちょっとしたイレギュラーな加工や量産に向かない仕様でも作れてしまうことがあります。
また、そんな手作りのような作り方であることで、ものがどうように出来上がるのかが分かりやすく、見てみて楽しいというのも流山工場の特徴であるということもあらためて実感しました。
工場は厳密に段取りを組み、品質を保ちながら効率良く計画通りにプロダクトを生産することが一番の使命なので、正直に言えば、今回のようなイベントはそれなりに工場に負担をかけてしまうことでもあります。だけど、みんなが笑顔でお客様を迎えて、すばらしい技を見せてくれました。
僕が好きなロックバンドが、ステージはバンドだけが作るものではなく、オーディエンスと共有し作っていくものであり、「オーディエンスと磁場を共有して得る巨大な上昇体験」と言っています。今回のイベントは、普段は店舗にいるファクトリーのスタッフや、オンラインショップ、海外営業のスタッフも参加してくれました。まさに、ものを作る人、企画する人、販売する人、そして、使ってくれている皆様が、流山工場というステージで、トラベラーズノートという磁場を共有して得る上昇体験だったと思っています。
この体験によって、僕らは今まで以上にそれぞれの仕事に誇りと愛をもって、さらなる上昇を目指していきたいと思ったし、参加いただいた皆様は、より愛着を持ってトラベラーズノートを使いたいと思ってくれて、そのことによって、それぞれの生活にさらに前向きな変化が起こったら嬉しいです。
今回はたくさんの方にご応募をいただいた中での抽選での参加となったため、参加できず残念な想いをされた方もたくさんいらっしゃると思います。今後もまた開催していきたいと考えていますので、ぜひ、次の機会を楽しみにしていただければと思います。まあでも、いろいろ大変なことも多いので、いっそのことトラベラーズファクトリーを流山工場内にオープンすればいいじゃん!というアイデアもあったのですが、そもそもトラベラーズファクトリーのファクトリーという名前は、流山工場の支店のような存在でありたいとの想いでつけたということあるし、トラベラーズファクトリーのファクトリー店というのもなんだかややこしい。まあでも、それもなくはないかもしれないなあ、とか思ったりもします。
それはともかく、とにかく楽しくて充実した1日を過ごすことができたことに、このイベントに関わってくれたすべての人にあらためて感謝を申し上げたいと思います。流山工場もトラベラーズノートもトラベラーズノートを使ってくれている皆様も最高です!ありがとうございます!