2025年4月 7日

今年も桜が咲いた

 先週、東京では久しぶりに春らしい暖かい日が続いた(もう4月だもんね)。そんな中、トラベラーズファクトリーに行く機会があったので、あわせて目黒川の桜を見てみることにした。桜はすでにピークを過ぎて、緑の葉が木々の間に見え隠れしている。それでも、川沿いに連なる桜は見事で、やっと春の訪れを実感できた。

 中目黒にトラベラーズファクトリーを構えて、13回目の桜になる。ファクトリーができたばかりの頃は、まだお客さんも少なかった。僕らは、人でいっぱいの目黒川沿いの桜を、どこか物珍しい気持ちで見ていた。それから何年か経つと、毎年のこの季節の賑わいに慣れてくる。屋台が出て賑やかな目黒川沿いを歩きながら、桜を見るのが年中行事のようになった。そして、その頃からファクトリーのお客さんも少しずつ増えていった。

 コロナ禍では振り出しに戻ったようにお客さんが来なくなった。だけど、花見規制で人が少ない目黒川の桜は、いつもと同じように咲き誇った。僕らは、桜を遠目に眺めながら、ちょっとだけ救われたような気持ちになった。

 そして、お店も花見も海外からの旅人でいっぱいになっている今年も、目黒川の桜は咲いている。例え、米の価格が2倍になっても、アメリカの関税が24%になっても、どこかで戦争があっても、悲しいことがあっても、嬉しいことがあっても、桜は咲いている。

 毎年、同じ時期に同じように楽しめる何かがあるのって、やっぱりいいですね。とくに世界の変化が激しいほど、いつも変わらずに安心して楽しめることにホッとします。昔から、そんな季節の変化がもたらす自然の恵みで、人は心のバランスを取ってきたんだと思う。僕自身も、東日本大震災のときも、コロナのときも、桜がいつものように咲くことで救われたような気持ちになったし、変化が激しくなればなるほど、よりそう思うのかもしれないな。

 話は変わって、実は今、個人的に、発表するあてもないちょっと長めの文章を書いている。昨年の11月にイシイさんから「書いてね」と宿題のように言われ、そのまま放置していたのだけど、なんとかきっかけを掴んで、2ヶ月前くらいから少しずつ書き始めた。

 ネットで調べたら、一般的な文庫本の文字数は12万字とあったので、さしあたっての目標は、12万字。だけど、今のところ書いたのは、まだ2万字とちょっと。まずは15万字くらい書いて、そこから推敲しながら削ぎ落として、目標の12万字にしようと思っているので、まだ完成までは先は長い。というか完成まで辿り着ける自信もまだない。だから、このブログにこうやって書くことで、自分にちょっとしたプレッシャーをかけている。

 だいたい毎週書いているこのブログだって、さらさらと書いているわけではなくて、それなりに悩んで時間をかけて書いているのに、その上、長い文章を書くには、そのための時間を作らないとならない。最近は、週に何日か会社帰りに、銭湯の代わりにカフェに寄ったりして、ちょこちょこと時間を作って書いている。来年の桜が咲く頃には、完成するのだろうか。

 目黒川で桜を見ていたら、ふと思い立ち、一足早く使っていたトラベラーズノート LOVE AND TRIPをカバンの中から取り出した。そして、桜をバックに写真を撮った。ピンクの桜に赤いカバーは、やっぱり似合う。

 橋の上で立ち止まって、何枚か写真を撮っていると、「はーい。もう動いてください。ここは立ち止まれませんよ」と警備員が言った。僕は「すみません!」と答えて、いそいそとその場から動いた。平日の昼間は、まだ人の数もそれほど多くないからか、警備員の方は、僕が何枚か写真と撮るのを見計らってから声をかけてくれたようだ。夜や休日は、きっとたくさんの人が来るんだろうなと思った。

 発売する頃には、桜は散ってしまっていると思いますが、バラやカーネーションに、チューリップなどなど、赤い花はこれからもたくさん咲きます。花とのツーショットもLOVE AND TRIPらしくていいかもしれないですね。

 そういえば、昨年は桜をバックにたい焼きチャームをつけた、TOKYO EDITIONの写真を撮ったような気がする。来年は何をバックに写真を撮るんだろう。